中国の課題は「輸入」にあり

 中国は工業製品の製造拠点であるため、日本や韓国から多くの部品を調達しています。そのため最大の輸入先が韓国、以下日本、台湾と続きます。

 さらに鉄鉱石や石炭の需要の多くをオーストラリアからの輸入でまかなっています。中国は鉄鉱石や石炭の産出量が世界的に多い国ですが、国土が広大で国内輸送が困難であるため、安価な船舶輸送を利用してオーストラリアから輸入しています。

 国内需要が拡大したことを背景に、現在では世界最大の原油輸入国(2017年)となっています。また発電用燃料の脱石炭が進められていることもあり、近年では液化天然ガスの輸入が伸びています。

 しかし、生活水準の向上にともなう食生活の変化によって、肉類や油脂類、乳製品の需要も高まっています。そのため食料品や飼料用穀物の輸入額が増加傾向にあり、中国の農産物貿易は赤字となっています。

 一方、輸出が拡大したことで、2006年に外貨準備高が世界最大となりました。これは、中国から輸出される物品の決済は、「必ず外貨で送金しなければならない」というルールがあるからです。

 例えば日本が中国から輸入する際は人民元での決済ができず、日本円などで支払わなければなりません。輸出すればするほど外貨準備高が増える仕組みとなっているのです。

 2017年より始まった「米中貿易戦争」によって、互いに追加関税を賦課するなど、アメリカ合衆国の政権交代も相まって、今後の行方が注目されています。

(本稿は『経済は統計から学べ!』の一部を抜粋・編集して掲載しています)