“商人の国”中国で成功するには、並大抵の努力では勝てない。イトーヨーカ堂も、外資系小売業として中国で一定の地位を築いた今日に至るまで、苦難の連続だった。15年前の1号店開店前には、お客様の生活を知るために早朝出かけ、ゴミ収集車が回収する前の家庭ゴミの中身を調べたことすらあった。

 日本の方は、もしかしたらご存じない方も多いかもしれません。日本で生まれたイトーヨーカ堂は今、中国で13の店舗を展開しています。北京で8店、そして四川省の成都で5店。おかげさまで大変な好評をいただいており、どの店舗も急激な成長の過程にあります。

 成長ぶり以上にありがたいのは、イトーヨーカ堂が中国で大きな存在感を持って、中国のお客さまに受け入れられていることです。日本では、1日のレジ通過客数は土日でも1万5000人から2万人ほどですが、中国では、平均で2万5000人。土日は約4万人にも達します。大変な人気店舗として認めていただいているということです。

 北京も成都も巨大な商業施設が次々と建ち並び、中国有数の消費地として中国国内ではよく知られていますが、イトーヨーカ堂は高い支持をいただいています。その存在を知らない人は、ほとんどいないと思います。とりわけ一足先に開業した成都では、地元で最大級の小売業グループとして、成都の方々、さらには地元の行政からも高くご評価いただいています。

 実は、日本の店舗を含めたイトーヨーカ堂全店で、売上げ順位の第1位になっているのは、中国・成都の双楠店です。すでに日本の店舗を、売上げや利益で上回ってしまっているのです。

現場・幹部の多くを中国人が担う“現地化”を実現

 そして、これはよく驚かれるのですが、これだけの展開をしながら、中国のイトーヨーカ堂には、日本人は数えるほどしかいない、ということです。ほとんどが中国人によって運営されているのです。店長も12人が中国人、うち7人は女性です。現地法人の役員も、7人中3人が中国人です。