イエローハット社長・堀江康生氏イエローハット社長・堀江康生氏 Photo by Michio Nakagawa

かつての経営危機から12年連続増収のV字回復を成し遂げたイエローハットの堀江康生社長が、事業再建において重んじた三つの理念や、後継者に求める三つの条件などを語った。(取材・構成/ダイヤモンド編集部 松本裕樹)

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経営者としての目標は
新卒から定年まで面倒を見る会社

(第1回のインタビューで)事業の立て直しにおいて、店舗も社員も減らさなかったとお話ししましたが、私が経営者として目標としていることの一つは、一度入社したら定年まで面倒を見る会社です。

 当社はかつて会社を辞める人が多い時期もあり、新卒入社で定年までいた社員は一人もいませんでした。新卒入社の社員で初めて定年を迎えたのは、私が社長就任してからのことです。

 以前は6時出社で掃除をしたり、有給休暇が取りにくかったり、社員には厳しい面も少なからずありました。

 しかし、社員たちが満足して、十分に能力を発揮してくれる環境を作るのは、経営者の大きな役割だと思っています。早朝の出社はやめましたし、給料も上げ、労働組合の要望事項もできるだけ受け入れ、待遇の改善に努めてきました。

 私の座右の銘は「もっと感動、もっとしあわせ」です。

 人生は限られているし、残された時間は意外と短いものです。感動する心を持ち、何にでも興味をもって、人生を楽しく、しあわせに過ごすことが大事だと思っています。

 社名であるイエローハット(1975年から店名に使用。97年の東証一部上場を機に社名も「ローヤル」から「イエローハット」に変更)の由来は、児童が通学時にかぶる「黄色い帽子」です。そこには、自動車産業に関わる企業として、交通事故という痛ましい事故を減らしたいという創業者の思いがあります。

 カーライフを通じて、顧客の感動としあわせを創り出したい。そのためにも待遇の改善により、社員に楽しく、しあわせになってもらいたいと考えています。