麻生太郎氏戦後最長となる3205日の在任期間を終えて財務大臣を退任した麻生太郎氏 Photo:JIJI

戦後最長となる8年9カ月にわたって財務省に君臨した麻生太郎前財務大臣。5年弱にわたって彼を追い続けた日本テレビ報道局の経済部デスクが、独特の「麻生節」に失言、官僚からの人気、そして実行した政策までを振り返り、戦後最長財務大臣が遺したものとはなんだったのかを考える。(日本テレビ報道局経済部デスク 鈴木あづさ)

麻生太郎氏から番記者がもらった
直筆お手紙の中身とは…?

 いきなり冒頭から個人的な話で恐縮だが、まもなく財務省を担当して4年半になる。記者クラブでは最長老の一人だが、その間、大臣はたった一人。第2次安倍政権の発足時から、実に8年9カ月という長きにわたって財務省に君臨したのが、麻生太郎・前副総理兼財務大臣だった。

 この4月にかねて念願だった小説を上梓した。ぜひ大臣に読んでいただきたい、と大臣室にお持ちしたところ、まさかのお手紙が返ってきた。

 筆文字の直筆、しかも封筒には「太郎ちゃんシール」が貼られている。トレードマークのボルサリーノの帽子に「TARO」と書かれた茶色い革製のアタッシュケース、右手には葉巻を手に、口元をゆがめた、なんともそっくり、かつお茶目なアイコン。便せんも「麻生太郎」のマークと落款が印刷されたオリジナルである。

 さて、その手紙の内容は、というと、「新聞やテレビはなるべく読まない、見ないようにしてきた為、常識を維持できているとは思っていますが」との一文が…。「麻生節」健在、である。