扶養控除のイメージPhoto:PIXTA

税金や社会保障の「扶養控除」に関する正しい知識は、家計の損得に直結する重要情報だ。しかし、家計の事情や個人の意向によって最適解が変わるので、「自分の場合」の答えが見つからずモヤモヤしている人は多い。そこで今回は三つの事例を取り上げて、扶養控除を最大限生かせる「扶養の壁」の内側で働き続けたい人や「扶養の壁」を越えて働きたい人など、ケース別に最適な年収を考えてみよう。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)

「扶養の壁」の
3つのポイントとは?

 当コラムでは前回、『パート収入で知りたいことトップ3とは!あなたの「働き損年収」はいくら?』と題して、「扶養の壁」について解説した。

 時給で働くパート妻は、どんな働き方をすると損をしないのかを知りたい。「パート収入の壁」は、100万円、103万円、106万円、130万円…と複数あるが、わが家にとってどの壁が重要なのか、ネットで検索しても「自分の場合」の答えが見つからないとモヤモヤしている――。セミナーなどを通じて、そうした人が多いことに驚いた。

 そこで前回は、「パート収入で知りたいことトップ3」として、よくある疑問を取り上げつつ、税金や社会保険などを含めた制度全体についても解説した。大きなポイントは次の3つである。

◆ポイント1
「税金の壁」は気にしなくてもいい。気を付けるべきは「社会保険の壁」である「106万円」もしくは「130万円」の壁。「社会保険の壁」は、越えたとたんに手取り収入が減る「働き損」の現象が発生する。

◆ポイント2
「扶養の壁」を越えて働くなら、「働き損」を解消できる「手取り回復分岐点」の年収を知った上で戦略的に働こう。

◆ポイント3
年金法の改正により、2022年10月以降、パートタイマーも社会保険に加入しやすくなる。

※ポイント1〜3の詳細や理由を知りたい人は、前述の『パート収入で知りたいことトップ3とは!あなたの「働き損年収」はいくら?』の記事を参照していただきたい

 上記の3ポイントは一般論としての「原則」だが、「扶養の壁」の内側で働き続けたい、せっかくだから「扶養の壁」を越えて働きたいなど、世代や個別の家計の事情によりニーズは異なる。今回はケース別に働き方を考えてみよう。