前回は、「組織と折り合いをつけることができない若手が辞めたところで自分を責めるな!」と書きました。じつは、書いてしまった後、すこし反省しました。というのは、会社に入って1年や2年で組織と折り合いをつけるなんて、そう簡単にできないだろう、と思い当たったからです。いとも簡単に組織と折り合いをつけ、「言われたことは何でもやります」なんて言う若手がいたら、むしろちょっと気持ち悪いかもしれません。

 つまり、「企画をやりたい!」というように、希望を表明すること自体はかまわないのです。でも、それが自分の能力と適性、経験との見合いで会社が決定することである、ということを当たり前のことと理解できるような常識感があるかどうか。それが大事だと思うのです。

 そんな常識感のある新人こそが、「かまうに足る」人材かもしれません。そんな新人をどうすれば採用できるのか。今回は、採用のノウハウについて考えてみたいと思います。

面接では、
「過去の事実」を正確に語らせる

 すでに入社した若手人材を対象にして「適度なかまい方」を実行しましょう、というのがこの連載のメイン・テーマです。しかし、その前に「かまうに足る若手」を入社させることを考えるべきかもしれません。採用のしかたの問題です。

 新入社員研修と並行して、来年度の新卒採用が佳境を迎えています。人事部門の方々にとっては、いまが1年でもっとも忙しい時期です。

 “人事部門以外”の方が採用にどのぐらい関わっているか――これは会社によって、かなり違いがあるところでしょう。現場管理職クラスが面接に関わる会社は、少なくないと思います。しかしそこで、面接に関する専門的なトレーニングを面接官となる管理職に受けさせるケースは、そう多くはないのではないでしょうか?

 良い人材を見抜くには、ノウハウが必要です。面接官によって質問のポイントがバラバラであっては、うまくはいきません。会社として求める人材像を明確にし、それを前提に望ましい人材を採用するための方針と方法を、面接官の間で共有しておく必要があります。

 採用面接の時に意識しておかないといけないことのひとつに、「人はウソをつく」ということがあります。入社したい企業での面接では、学生は当然良いところを見せようとするものです。とくにいまの学生たちは、WEBや書籍などで「面接マニュアル」を相当仕込んできています。企業を選ぶために大事な「志望動機」や「自己分析」さえも、マニュアルに準拠して身につけるケースが少なくありません。しかし、動機薄弱である若手は、試練に対する耐性が低く、当然ながら、この会社で長く働こうという意思も薄弱であるといえます。