給与が上がる転職が
成功とは限らない理由

 転職で成功した人の給与カーブがどんな形になっているか、読者の皆さんはご存じでしょうか。それは決して一直線の右肩上がりではなく、ところどころで一度、下がってはまた上昇し、下がってはまた上昇しながら、全体としてグラフの右上に伸びていくという線を描いていきます。

 この給与カーブは要するに、転職の際に一度、給与が下がり、その後上昇に転じていることを意味しています。前回の連載で勇気を持って他の人ができない決断をした人だけが大きな果実を手にできると述べましたが、一度給与が下がるという決断を下せる勇気の有無が給与カーブにも表れているわけです。

 転職して給与が上がるのは、それまでにやってきた経験やノウハウが転職先でも100%活用できる場合です。ということは、転職先の仕事内容は従来とあまり変わらないことを意味します。多少変わったとしても、今までやってきたことをベースに何らかのプラスアルファがつくぐらいでしょう。

 給与が上がるという点では決して悪くはない話です。しかしこういう転職ばかり繰り返していると、やがて給与の上昇はもちろん、自分のキャリアがどん詰まりになるときがやってきます。何も新しいチャレンジをしていないからです。

給与カーブの一時的な下落は
勇気とチャレンジの証拠

 一方、いままでの仕事でやってきた経験やノウハウのうち転職先で使えるのは3分の1程度で、3分の2は新たに習得しなければいけないという転職のとき、企業は前職より低い給与額のオファーしか出しません。