男子を上回る女子受験生の増加傾向
以前の連載で触れたように、大幅に増加が予想される2022年入試の受験生は、偏差値50未満の共学校に集中する傾向がうかがえた。男女で比較すると、女子受験生に増加の勢いが強い。共学校はもとより、これまで募集に苦労していたような中位以下の女子校においても“特需”の発生が予想される。
前回は男子受験生の動向を見た。今回は女子受験生を取り上げる。偏差値については、四谷大塚の合不合結果80偏差値を基準に、偏差値65以上をAランク、以下5刻みでB~Fランク、30台をGランクとし、偏差値表記のない入試(学校)をHランクとする。
これまでも触れたが、7月模試時点ではまだシビアな絞り込みは行われておらず、希望的な観測も込みで志望を複数記入している。したがって、以下で見るような志望者数の増減や予想倍率がそのまま22年入試で現実のものになるかは定かではない。現段階では、どのような学校(入試)に注目が集まっているのか、その勢いを感じ取っていただければと思う。
女子校は、中堅校が男子校ほど多くはなく、難関上位校と中位校以下との二極化が比較的見られる。それでも山脇学園のように、一部の学校では中位校から中堅校へ、偏差値でいえば40台から50台に、ここ数年で上昇した例も出てきた。一方で、中位以下の女子校では、生徒募集の観点から共学化する傾向が続いている。そうした状況下でも女子校に踏みとどまり募集に苦労する学校も見受けられたが、22年入試ではその入りやすさもあって、人気化する女子校が出てくることが予想される。
21年入試の女子受験生は、共学校と女子校を問わず、偏差値40台後半のEランクの学校で志望者が増えていた。共学校での女子受験生の実倍率は3.2倍となっており、これらの学校を第一志望としている受験生にとっては厳しい水準だった。今年7月模試の総志望者数も30%前後の増加率を示しており、22年入試でもその基調は続きそうだ。
やはり増加著しいFランク(偏差値40台前半)の実倍率は、21年入試では女子校・共学校の女子受験者ともに2.23倍だった。これがEランクのように3倍を超えると大変だが、22年入試でも比較的マイルドな競争環境となりそうだ。
まずは四模試の総志望者数で、各入試の前年比での増減を見ていく。志望者数が少ないと振れ幅も大きくなるため、合計人数が50人未満、50~99人、100~299人、300人以上という4つに主に分けて解説していきたい。
入試によっては、500~600人、中には1000人を超える志望者が集まっている。募集定員が変わらなければ、当然、前年に比べて実倍率は上昇する傾向にある。その点でいえば、1000人を超えている豊島岡女子(1回)、浦和明の星(1回)や女子学院、それに迫る吉祥女子(2回)などは、増減があっても人気の学校(入試)である。