存在感を増す市立校と中高一貫校

 関西圏の公立校の中で、京都府は控えめである。旧一中で中高一貫化した府立洛北は姿が見当たらない。ランク入り2校は、いずれも京都市立である。堀川の奇跡と言われてから、はや20年。17位堀川(京都市中京区)は、京都公立校トップの座が定まった感もある。これに次ぐのが39位西京(京都市中京区)で、商業高校から改組してここまで伸びた学校は珍しい。

 大阪府については、ベスト10の解説でだいぶ触れた。1位北野は国公立医学部合格力でも5位につけている。もう1校、24位府立茨木(茨木市)は、関西では珍しく難関私立大学合格力でも24位となっている。

 兵庫県も多くは先述したが、難関私立大学合格力16位に西宮市立西宮が顔を出している点が注目だ。戦前は高等女学校だったが、戦後に共学化、グローバル・サイエンス科もある。第2学区ではトップクラスとなっている。他に、滋賀県は26位膳所(大津市)のみ、奈良県は38位奈良(奈良市)のみで、和歌山県はなかった。

 中国地方では、鳥取県が31位米子東(米子市)、島根県が32位出雲(出雲市)と1校ずつで、旧一中の鳥取西と松江北は入らなかった。広島県は国立・私立共に全国的な進学校が控えており、公立校の位置は相対的に低い。今回は、2004年設立で県立初の中高一貫校である23位県立広島(東広島市)と28位広島市立基町(広島市中区)がランク入りしている。

 ここでは、岡山県が要注目である。旧一中は岡山朝日だが、合格力では、ここのところ中学校を付設して一貫化した40位岡山操山(岡山市中区)が上回っていた。ところが今回、2010年開校の岡山大安寺中等教育学校(岡山市北区)が、国公立100大学合格力で20位(全国ランキングは今回40位、前回は127位)と国公立医学部合格力8位の両方にランクインしており、合格力で県内トップ校となった。もう1校、46位に岡山芳泉(岡山市南区)もランク入りしている。

 四国は香川県の6位高松(高松市)が国公立医学部合格力でも9位につけている。他に50位丸亀(丸亀市)がある。他の3県はランク内にはなかった。

 九州では、福岡県は、福岡市内の6つの学区それぞれに名だたる進学校があるものの、いずれも入らなかった。佐賀県は旧一中の12位佐賀西(佐賀市)のみで、長崎県は旧一中の24位長崎西(長崎市)、中学校を付設している32位諫早(諫早市)と43位長崎東(長崎市)がランクインしている。

 熊本県では、4位熊本が国公立医学部合格力でも1位と九州全体で見てもトップの実力を見せている。県内では41位済々黌(熊本市)が旧一中なのだが、二番手が定着している。大分県は、旧一中の13位大分上野丘(大分市)が、国公立医学部合格力も17位と県内随一の存在感で、宮崎県は中学校を付設している15位宮崎西(宮崎市)が唯一のランク入りとなり、国公立医学部合格力も16位となった。旧一中の宮崎大宮は見当たらない。鹿児島は旧一中の9位鶴丸(鹿児島市)が国公立医学部合格力でも13位と、これも県下トップ校の地位を守っている。沖縄県はなかった。