難易度と入試回数と実倍率の関係
前ページの図2は、100人以上1000人未満の受験生を集めた20校のランキングである。こちらには1回だけの入試を行う麻布、栄光学園、武蔵、慶應義塾普通部、早稲田大学高等学院といった難関校が名を連ねている。
2回入試には、学習院、サレジオ学院、桐朋、立教池袋、暁星の5校がある。前年比1割程度の上下はあるものの、大きく伸びることもない。唯一の例外が暁星で、毎年の上下動が激しい。5年前の18年には223人だったものが、22年は2倍の455人に膨らんでいる。受験者増のきっかけとなったのが、20年に加わった2回目の3日午後入試で、受験者数は19年の207人から421人と倍増した。ところが、20.6倍という実倍率を敬遠されて、21年には100人減らしている。
図3では、受験者数の変動が大きい11校を示してある。これまで見てきたように、増加傾向が顕著な学校と、20年にピークを迎えた学校が明確に読み取れるだろう。偏差値40前後までの中位校では、入試回数が増えていく傾向にある。教科型の入試に加えて、多様な入試を設けることで受験生集めに知恵を絞っている。
3日に一斉に行われる都立中高一貫校への模試的な位置付けである適性検査型の入試を設けている学校も多い。京華は、1日午前が実倍率2.67倍と高人気である。1日午前から3日連続で実施している佼成学園は、いずれも1.25倍以下の、実に入りやすい入試となっている。
図3にある22年に800人前後を集めた3校は、いずれも右肩上がりで受験生を増やしてきた。受験者数をこの5年間で3倍弱増やした京華(文京区)、多彩な入試で話題を集める聖学院(北区)、そして杉並区の佼成学園である。
図4は、概ね初回入試の難度順に並んでいる。同じ日時の入試でも、22年の実倍率に大きな差があることが分かるだろう。併願校を考える場合、自分の子どもに合った校風(学校文化)なのかが大切となる。同じ偏差値でも対極的な校風という学校もある。それに加えて、合格を得るためには実倍率も押さえておくことが肝心となる。
図4には一般的な入試を載せた。京華は、1日午前・2日午後・3日午前と3回実施している中高一貫入試がいずれも実倍率2倍台半ば前後と人気がある。多くの入試を行うことで、22年は前年比200人も受験者数を増やした。
聖学院は、1日午前「ものづくり思考力」(1.3倍)、1日午後「英語特別」(1.74倍)、2日午後の「特待生」(11.5倍)と「M型思考力」(1.75倍)のように、従来の教科型にとらわれないユニークさで受験生にアピールし、21年は前年より160人近く受験生を上積みしている。
図4にはこの他にも、5回以上の入試を設けることで受験生を集めている足立学園、藤嶺学園藤沢、日本学園、明法という4校の実倍率も載せた。概ね1倍台なのだが、足立学園は入試によって5~6倍台の実倍率に跳ね上がっている。