
真壁昭夫
第431回
安倍首相は、消費税率の再引き上げを2年半延期すると表明した。“足踏み状態”にある景気を支えることが優先された結果だと思うが、当然ながら、それだけでは国内景気の回復を持続させることは難しい。

第430回
米国はベトナムへ武器輸出を解禁した。中国への抑止力強化でベトナムとの利害が一致したことが背景にある。ただし、米国の影響力の低下するなか、今後、わが国はどのように対応すべきか。

第429回
政治家は実現性の低い人気取りの短期的な政策ばかり行いがちだが、短期的には痛みを伴っても、それを完遂することでより大きな幸福を国民にもたらすことを理念として持つべきだ。

第428回
これから円高が進展するようだと、多くのわが国企業にとって経営環境の悪化は避けられない。問題は、わが国企業が円高の逆風にどれだけ耐えることができるかだ。

第427回
ヘッジファンドは米国政策の意図を敏感に読み取って、売買を行う可能性が高い。逆に、米国政府としても、為替市場で政策意図を実現する場合、大手投機筋が政府の思い通りに動いてくれることは重要なメリットになる。

第426回
金融政策は景気回復を実現する万能の特効薬ではない。日銀は何ができて、何ができないのか、政策の対応範囲を整理して冷静に市場に伝える正念場を迎えている。

第425回
他の企業にも大きなマイナス効果を与え、幾度となく改革のチャンスがありながら、社会のルールを守らず、その企業文化を変えられない三菱自動車は、そのままの姿で存続を続けてよいだろうか。

第424回
「パナマ文書」で“節税”策の利用者として政治家の名前が挙がり、世界中に大きな波紋を投げかけている。今後解明が進むにつれて、各国の政治が不安定になり経済運営への懸念が高まることも考えられる。

第423回
金融政策を頼みとした円高・株高をセールスポイントとしてきたアベノミクスだが、為替市場に対する日・欧中央銀行の影響力が低下するなかで、一段と厳しい経済状況に追い込まれている。

第422回
6月の英国の国民投票が、EU崩壊、世界経済混乱の始まりとなる可能性は高い。鍵を握るのは、そうしたリスクに対応する世界的な協調体制を作ることができるか否かだ。しかし各国政治の内向き志向を見ると、先行きに楽観的になれない。

第421回
世界の金融市場は一時期の不安定な状況からだいぶ落ち着きを取り戻しているものの、日本だけがなぜ取り残されているように見えるのか。昨年までの円安・株高傾向を演出してきたアベノミクスが逆回転の様相を呈している背景にあるメカニズムを、分析してみよう。

第420回
東芝が白物家電事業を中国の美的集団に売却することで基本合意した。鴻海傘下に入るシャープを含め、中国や台湾の新興企業がわが国メーカーの事業を買収するケースが目につく。問題は、それが前向きな選択であるのかだ。

第419回
来年4月の消費税率の再引き上げは、国内外の経済状況から見て、事実上難しい。前回の消費税率引き上げの影響も払拭できていない。背景にはアベノミクスの誤算、そして政府も企業も改革を怠ってきたことがある。

第418回
わが国経済の閉塞感の大元には、人口減少問題への対応と、社会の仕組み・制度の刷新を怠ってきたことがあるのを忘れてはならない。だが悲観的になることは適切ではない。人口減少の下でも経済成長を続けることは可能だ。

第417回
世界経済が不安定な中、欧州に英国EU離脱の可能性や銀行の信用不安などの問題が浮上している。中国・米国の経済減速に欧州リスクの顕在化が重なるという、最悪のシナリオもあり得る。そのリスクを過小評価すべきではない。

第416回
金融市場の不安定性の背景には中国経済がある。共産党政権は深刻な危機感を持ち始めているが、先行きは楽観できない。人民元下落の懸念も厄介な問題だ。政治面も含め、中国は依然として重大なリスク要因である。

第415回
金融市場が大荒れの状況だ。引き金は欧州銀行の信用不安だが、根底には中国・米国をはじめとする世界経済の先行きへの懸念がある。われわれは、金融市場が落ち着きを取り戻すまで、身を守ることを優先して考えるべきだ。

第414回
黒田日銀総裁は、強気の発言を根気よく続けていれば、いずれ世界経済が回復すると考えているのかもしれない。だがバズーカ砲を発射するたびに、金融市場で活発なマネーゲームが展開されることになる。その弊害は小さくない。

第413回
日銀が予想外のマイナス金利導入を発表した。だが金融政策への過度な期待は危険な兆候だ。元々、金融政策は諸刃の剣であり、プラス面は長期間続かない。金融政策への依存度の高いアベノミクスは正念場を迎えている。

第412回
原油価格が不安定な展開を続けている。原油価格の下落は、わが国などエネルギー資源を輸入する国にはプラスに作用するが、冷静に考えるとマイナス面も大きい。「逆オイルショック」は、わが国にとっても大きなリスクになり得る。
