
真壁昭夫
第411回
金融市場混乱の引き金となったのは、中国金融行政のドタバタ劇だ。同国政府は市場原理を理解しないまま、今後も積極的に市場に介入すると見られ、それが中国、そして世界の金融市場を混乱させる可能性が高まっている。

第410回
年初に起きた世界同時株安は、金融緩和がもたらしたミニバブルの終焉、そして世界経済が米国利上げのマイナス要因に耐えられないことを示している。今後の世界経済に明るい構図は描きにくく、最悪のシナリオもあり得る。

第409回
2016年の世界経済の鍵を握るのは米国だ。中国はソフトランディングに向かいそうだが、世界を牽引してきた米国経済は年後半以降、減速の可能性が高い。そうなれば日本を含む主要国経済、そして金融市場も不安定な展開となる。

第408回
米国の利上げで、世界経済の問題が解決されたわけではない。むしろこれは“パンドラの箱”を開けたと考えた方がよい。一方、ECB追加緩和や日銀緩和補完への市場の反応が示すように、金融緩和策はそろそろ限界に来ている。

第407回
原油価格の下落に歯止めがかからない。約1年で原油価格は3分の1近くまで急落。わが国をはじめ主要国には物価下押し圧力が働いている。世界経済にも無視できない影響が及んでおり、回復が腰折れすることにもなりかねない。

第406回
11月末、IMFが人民元のSDR採用を正式決定した。今回の決定の背景には、台頭する中国経済を国際ルールの枠組に入れておく方が得策だとIMFが考えたことがあるが、中国政府が本気で人民元改革が進めるとは考えにくい。

第405回
中国の領土拡張主義の背景には、国内経済の行き詰まりがある。中国は外交政策において、莫大な消費地としての期待や新興国へのインフラ投資などでの影響力を上手く利用しているが、これを放置するのは危険だ。

第404回
VWは、不正問題でいっそうの苦境に追い込まれようとしている。同社が不正に走った要因の一つして見逃せないのが、創業家が強い発言権を持っている経営体制だ。同族経営の企業は日本にも多いが、その負の面とは何か。

第403回
足元の多くの国・地域で成長率が鈍化し、物価も低迷している。日本の7〜9月期2期連続のマイナス成長となった。こうした状況は金融緩和策の限界を示すと見るべきだ。そしてその副作用、すなわちバブルの形成も見逃すべきではない。

第402回
中韓が、拒み続けてきた日中韓首脳会談の開催に応じた背景には、経済の減速で産業界および国民の不満が高まっている事情がある。両国とも日本との経済関係の改善を図ることになるだろう。では日本はどう対応すべきか。

第401回
人民元がIMFのSDRに採用される見込みだ。実現すれば人民元は有力な国際通貨としてのお墨付きを得ることになる。そもそもSDRとは何か、なぜ人民元のSDR入りが議論されるのか。さらに日本はこれにどう対応すべきか。

第400回
過剰生産能力を抱える中国は、海外へのインフラ輸出強化を狙っている。「一帯一路」やAIIBはその方策だ。一方、欧州諸国は中国の意図を歓迎し、経済的メリットを取るスタンスだ。わが国はこれらの動きにどう対するべきか。

第399回
ラグビー日本チームの活躍は、“夢”を持つことの大切さをあらためて教えてくれた。企業にとっても、夢はイノベーションの源泉である。そしてかつてハイブリッド車を実現したトヨタは、燃料電池車の普及という新たな計画を打ち出した。

第398回
TPPで最も重要なポイントは、経済活動に関し参加国間で一定のルールに統一されることだ。企業や産業の競争は激化し、生き残るための戦略や努力が一段と重要となる。しかしそれは、わが国が強くなるきっかけと考えるべきだ。

第397回
景気の足取りが予想外に重たくなっている。安倍首相は足元の経済状況をもう一度よく検証するべきだ。そうした検証なく突然「今度はアベノミクス第二幕だ」と言われても、納得できる人は少ない。

第396回
今回のVWの不正事件は、過去の多くの企業不祥事と性質が異なる。同社がこのような不正に走ってしまった背景にはドイツ企業の伝統的カルチャーがある。一方、わが国の企業もこれを対岸の火事と片づけるべきではない。

第395回
日銀の追加緩和への期待が高まっているが、同行としてはこれは避けたいはずだ。現在、主要国の金融緩和策が世界経済を支えているものの、その効果には限界があり、弊害も大きい。長期間依存するのは危険だ。

第394回
世界同時株安以降、急騰、急落を繰り返す日本の株式市場。その変動幅は世界の株式市場の中でも目立っている。そこには、中国との近さ、景気の先行き不透明感、海外・短期投資家の跋扈など、わが国特有の要因がある。

第393回
アベノミクスの最大の成果は円安・株高であったが、これが陰り始めている。一方で、重要な改革や成長戦略にはほとんど見るべきものがない。条件が徐々に厳しくなりつつある今、アベノミクスの真価が問われる。

第392回
金融市場には、1987年、1997年、2007年と10年毎に世界の株価が大きく下落するイベントが起きるという“10年周期説”がある。世界経済が置かれている状況を考えると、“次は2017年”との見方は荒唐無稽と片づけられない。
