マイナス金利導入の発表後
金融市場は一段と不安定化

マイナス金利導入発表後も株価は乱高下が続いている

 2月16日から実施予定のマイナス金利には、「日銀はここまで踏み込むのか」との驚きと、金融政策依存度の高いアベノミクスの限界の鮮明化を感じる。だが冷静に考えると、本来、これに金融市場に大きなインパクトを与えるほどの効果は期待できない。

 実際、日銀が予想外のマイナス金利導入を発表して以降、株式や為替などの金融市場の動きは一段と不安定な展開になっている。

 今回、これほど金融市場に大きな波紋を与えた一つの理由としては、1月21日、黒田総裁が参院予算委員会の場で、「マイナス金利は考えていない」と表明したにもかかわらず、わずか8日後、突如、マイナス金利導入を発表したことがある。

 また、主要国の積極的な金融緩和策の実施にもかかわらず、世界経済の先行きに対する不透明感が払拭できないことも忘れてはならない。中国経済の先行き不安や原油価格の下落など、今まで金融市場を揺さぶってきた懸念はほとんど解消されていない。むしろ今後、そうした懸念事項がさらに膨らむ可能性すら想定される。

 そうした状況下、日銀の黒田総裁は臆することなく「物価上昇目標を達成するために何でもする」との姿勢を変えず、金融政策の限界はないとも明言している。その雄姿は、頼もしいとさえ言える。

 恐らく、黒田総裁の本意としては、強気の発言を根気よく続けていると、いずれ中国経済が回復の兆しを鮮明化するか、あるいは、世界経済に明るさが見え始め、原油価格も上昇に転じるチャンスがあると見ているのかもしれない。

 ただ、黒田総裁がバズーカ砲を発射するたびに、金融市場で活発なマネーゲームが展開されることになる。その弊害は小さくない。