小宮一慶
第64回
社長の周りには多くの「罠」が潜んでいます。今回取り上げる罠は、周囲の人物が社長を陥れようと仕掛ける罠ではなく、自らがはまってしまう罠。まず最初は「部下は自分を慕っている、尊敬している」という勘違いのことです。

第63回
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」というように、部下を持ち肩書きで呼ばれる立場に昇進しても謙虚さや素直さをなくさないことが大切です。地位が高くなるほど、部下がこびへつらうようになり、取引先の人たちもチヤホヤするでしょうが、それで自分が特別な人間になったように勘違いして浮かれていては大切な経営判断を誤ります。

新入社員を迎える4月は、同時に社員の昇進や異動の時期。ある程度の地位までは機械的に昇進していく役所や一部の大企業はともかく、経営者にとっては誰を昇進させるのかという判断は悩むところです。リーダーに昇進させる人材を選ぶ大前提は「仕事ができる人物」であることです。

第61回
リーダーの考えるミッション・ビジョン・理念などが部下に十分に伝わるためには2つの条件があります。1つ目にリーダーが「人望・人徳」を身に付けていること。2つ目は社員に「働く喜び」を感じてもらえていることです。そのためには部下が「良い仕事」に集中できるような環境を整えなければなりません。

第60回
変化が激しい今の時代、企業経営で「変わることができずに失敗する」、というのはよく聞く話です。しかし、時代の変化に対応し、改革を進めようとするリーダーが改革を実行し切れずにうまくいかないというときには、どこに問題があるのでしょうか。

第59回
前回に引き続き、トランプ大統領が就任した米国に対し、日本企業がどのように対応していくべきかについてお話します。トランプ大統領は政治家として「大人」ではありませんが、生粋のビジネスマンです。ビジネスマンは「どれだけ努力をした」のかではなく、「どれだけ結果を出せたのか」を重視します。

第58回
安倍首相とトランプ大統領の日米首脳会談が終わり、今後は麻生副総理とペンス副大統領をトップとする2国間交渉に移ります。アメリカは首脳会談では「仲の良さ」を強調しましたが、今後の自動車や農産物などの個別交渉では、「こわもて」の面も見せてくると私は考えています。TPPなどの多国間交渉よりも、手ごわい交渉が待っている可能性を見過ごしてはいけないのです。

第57回
今回は、新年度への準備となる今の時期に、経営者が読むべき本についてお話しましょう。新しい年や新しい年度といった「次に向けた経営戦略」を考える節目となる時期に、経営者が読むべき本は何か? そう質問された時はいつも「考え方の本」と「世の中の動きが分かる本」を読むべきです、と答えています。

第56回
経営が行き詰まる会社は、往々にして経営者が「前年比○%の売上を達成する」ということばかり気にして、会社の存在目的を忘れてしまっています。「前年比○%の売上」などという数字はお客さまの満足の「結果」や満足の「度合い」であって、いわば成績表です。それが究極の目的となってはいけないのです。

第55回
EU離脱問題やトラップ・ショックの影響を直接受ける企業はグローバル企業ですが、それらの企業は国内でも多くの下請け企業を持つことや、為替レートなどが大きく振れる可能性もあり、今年、中小企業の経営や日本経済にも大きな影響が出る可能性があります。そして、もう一つのAI(人工知能)の大きな進歩も、多くの人に「脅威」あるいは「恩恵」となるでしょう。

第54回
この1年を振り返って経営者に、業績=良かった、給料=そこそこに払った、福利厚生=充実させたという自負があっても、社員は違う思いを抱いているかも知れないことを理解しておくべきです。取り残されたと感じている一部の社員は不満すら覚えている可能性があります。そうであれば経営者は深く反省をしなければなりません。

第53回
世の中の動きを知らずにビジネスの正しい判断はできません。正しい判断をするためには、新聞などで自分の関心のないものを含めて大く報じられている記事を普段からよく読んで、世の中の動きを知るとともに、「正しい考え方」を身に付けていなければなりません。では正しい考え方を身に付けるために何をするべきでしょうか。

第52回
リーダーの仕事は多岐にわたりますが、最も重要な仕事を1つあげるとすれば「判断」です。「判断」は戦略立案においてとても重要です。経営戦略とは企業の「方向付け」をすることですが、会社のビジョンや理念の上に立って外部環境と内部環境を正しく分析し「何をやるか、やめるか」を決めることです。

第51回
リーダーに不可欠な資質は「素直さ」「謙虚さ」に加え、「前向き」「利他心」「反省」の3つです。この3つは天賦の才などではなく、子ども時代は親や周囲の大人たちから教えられ、社会人になってからは日常の行動の中で意識をしたり努力をしたりして身に付けるもの。一度身に付けても、普段からそれを意識していなければなりません。それが身についているのかは、自分の行動をチェックすれば分かります。

第50回
リーダーになるためには、正しい姿勢とそれを磨くための努力が必要です。「散歩のついでに富士山に登った人はいない」ように、なんとなく会社にいて、漠然と過ごしていて優れたリーダーになった人もいません。

第49回
適切な行動ができなかったり、十分なパフォーマンスを出さないダメな部下と、それを叱れない甘い中間管理職が増えているという嘆きを経営者からよく聞かされます。経営者でも部下をきちんと叱れない人もいます。「甘い」のです。甘い上司は、部下にとっては一見、「優しい」上司のように映るでしょうが、部下に甘く接する事と、優しく接する事はまったく違います。

第48回
世の中には、ビジネスやリーダーシップに役立つヒントがたくさん盛り込まれた書籍や記事があふれています。もちろん、ヒントは役立ちますが、だからといってヒントを丸暗記してそれで人が動くと思い、朝礼や会議の席で部下に「お客さまの喜ぶ行動をする」「プロジェクトを成功させる」「営業成績をあげろ」とげきを飛ばしても、部下は腹の中で「お前こそ頑張れよ」と思うだけで、本気になって動くことはありません。

第47回
「一人前」はまだ「二流」。「一流」とは違います。一人前はゴールではなく、「一流」を目指すためのスタート地点です。では「一流の上司」「一流の経営者」はどのようなことを実践しているのでしょうか。

第46回
経営者にも「一人前」と「一流」の違いがあります。競争の激しい大企業の新入社員からスタートして、社長のポジションを得た人は一流の経営者のように思えるでしょうが、必ずしもそうではありません。逆に中小企業の経営者でも一流の人はたくさんいます。

第45回
前回は「嫌な上司」の下についたときの部下としての心得をお話しました。では自分が「良い上司」、その先の「良い経営者」になるためには、何をすればいいのでしょうか。今からすぐできる簡単な方法があります。人の話を聞くときには「メモを取りながら聞く」ということ。メモを取ることは二つの意味で重要な習慣です。
