「正しい経営」が分かる本

 今回は、新年度への準備となる今の時期に、経営者が読むべき本についてお話しましょう。

 新しい年や新しい年度といった「次に向けた経営戦略」を考える節目となる時期に、経営者が読むべき本は何か?そう質問された時はいつも「考え方の本」と「世の中の動きが分かる本」を読むべきです、と答えています。

経営本は「ロングセラー」から読め小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 経営には「正しい考え方」と経済環境を読む目が何よりも必要だからです。

「考え方の本」を読むのであれば、孔子とその弟子たちの言葉を書いた『論語』を読むといいでしょう。もちろん、少しずつ読み進めても問題ありません。最初は、それを解説した本でもいいでしょう。

 私のおすすめは安岡正篤先生が書かれた『論語の活学』(プレジデント社)です。私もその本から論語を勉強しました。『論語』や『老子』などの中国の古典からは2500年という長い時間の中で多くの人が「良い」と認めた知恵や「正しい考え方」を学ぶことができます。仏教書などから学ぶことも同じです。

 経営に関する本としては、名経営者として評価が定まっている松下幸之助さんの『実践経営哲学』(PHP)や稲盛和夫さんの『生き方―人間として一番大切なこと』(サンマーク出版)も、経営者や経営者を目指す人なら読んでおくべき本です。正しい経営とは何か、正しい生き方とは何かということを経営の視点を通して教えてくれます。

 さらにおすすめとしては、ジム・コリンズの『ビジョナリーカンパニー(2)-飛躍の法則』(日経BP社)、ピーター・F・ドラッカーの『マネジメント[エッセンシャル版]-基本と原則』(ダイヤモンド社)があります。どちらも初版発行から15年以上が過ぎていますが、それでも古くならない経営の根幹を知ることができます。

 経営に関する本も次々と新しいものが出版されていますが、『論語』も含め、まずはロングセラーとなっているこれらの本を読むことをおすすめします。それらの本には成功する生き方や経営の本質が詰まっているのです。