「取り残された」と感じている社員に気づけるか

 知識人の多くが予想していなかった英国のEU離脱や米国のトランプ大統領の誕生――今年は世界の政治や経済に大きな影響を与える想定外の出来事が多く起こりました。

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 その本質をひと言で表せば「取り残された人のパワーが予想以上に大きかった」ということです。

 Brexit(ブレグジット)が取り沙汰されていた当時、私はセミナーで英国の経済成長率とドイツの経済成長率を比較した表を示して、実は英国のほうがEUの優等生と評価されていたドイツよりも成長率が高いことを指摘しながら話しました。

 英国がEU加盟の恩恵を受けて他の加盟国より経済的に発展した事実は、国民投票の結果を受けて辞任したキャメロン首相も、英国の知識階級も、繁栄の波に乗って豊かになった人々も知っていたはずです。だから離脱派が勝つはずがないと思っていたのです。

 しかし、実際は繁栄から取り残された人たちのパワーが勝ったのです。

 繁栄から取り残された人たちは統計など見ていないし、自分の周りの繁栄する人たちの生活を横目で見て、自分たちの生活が豊かになったという実感も得られず、離脱に票を投じたのです。トランプ現象も全く同じ構図です。

 この教訓は会社経営に生かすことができます。

 この1年を振り返って経営者に、業績=良かった、給料=そこそこに払った、福利厚生=充実させたという自負があっても、社員は違う思いを抱いているかも知れないことを理解しておくべきです。取り残されたと感じている一部の社員は不満すら覚えている可能性があります。