松村大貴
「日本企業の価格設定(プライシング)に対する考え方は遅れている。一番の課題となっているのはテクノロジーではなく、実は人間のほうだ」そう語るのは、書籍『新しい「価格」の教科書』の著者でプライステックサービスを提供するハルモニア代表取締役の松村大貴氏だ。日本経済に対する危機感とプライシングにおける課題を指摘した前編に続き、本稿では、今後のプライシングの考え方と対応について、松村氏が具体的に解説する。

一定のインフレーションが進む先進諸国の中にあって、なぜか物価も賃金も上がらない日本。書籍『新しい「価格」の教科書』の著者でプライステックサービスを提供するハルモニア代表取締役の松村大貴氏は、その要因の1つに、日本企業の「価格決定力」の低さを挙げる。なぜ日本の価格決定力は低いのか。日本が抱える価格設定(プライシング)の課題とは。松村氏が解説する。

「いいものを安く」売りすぎている日本。適性なプライシングの専門家がいる意外な業界とは…?
「マーケティングの4P」の一つである「価格」ですが、その決定責任者は多くの企業で曖昧なようです。しかし今後、顧客に合わせた商品・サービスのカスタマイズの幅が広がっていくにつれ、自然と値付けも変動的になり、それを監督し責任をもつ人や部隊が必要になるはずです。そのとき、いったい値付けの専門家は社内でどのような立ち位置にあるべきなのか? また、果たしてそういう人材はいるのか? 経営戦略が専門の琴坂将広さん(慶應義塾大学総合政策学部准教授)と、初の著書『新しい「価格」の教科書』を上梓した松村大貴さん(ハルモニア代表取締役)が語り合います。

アルゴリズムでお客さまは賢く商品を選択できる時代。ネット検索に負けずに生き残るための条件とは?
お客さまが食べログやアマゾン、ネットフリックスなどアルゴリズムを味方につけて「賢く」なっていく今の時代、どうすればお客さまに選ばれる商品・サービスを提供できるのか? 価格が安いということ以外で、検索条件に必ず出てくるようにするには? 経営戦略が専門の琴坂将広さん(慶應義塾大学総合政策学部准教授)と、初の著書『新しい「価格」の教科書』を上梓した松村大貴さん(ハルモニア代表取締役)が語り合います。

トヨタのランドクルーザーやソニーのプレステ5は値付けが間違っている!? その理由と悪影響
トヨタのランドクルーザーやソニーのプレイステーション5の値付け(プライシング)は間違っている…!なぜそう言えるのか。経営戦略が専門の琴坂将広さん(慶應義塾大学総合政策学部准教授)と、初の著書『新しい「価格」の教科書』を上梓した松村大貴さん(ハルモニア代表取締役)が、変化の激しい環境下でアルゴリズムとして経営戦略を実装する重要性や、そのなかでのプライシングの位置づけ、プライシングを間違った場合の影響について先の2つを例に挙げながら語り合います。

テスラのシートヒーターは内蔵されていてもオプション! そんなソフトウェア型プライシングが拡大していく
テスラのシートヒーターは内蔵されているのに最初は使えない状態になっていて、ボタンを押してお金を払うとオプションがオンになって使えるという、まさに「ソフトウェア発想」の付加サービス。このように、技術の進化によって、ものづくりはもちろん、値づけ(プライシング)の自由度も高まっています。これからのプライシングはどのように変わるのか、その必然といえる背景も含めて、経営戦略の専門家である琴坂将広さん(慶應義塾大学総合政策学部准教授)に、初の著書『新しい「価格」の教科書』を上梓した松村大貴さん(ハルモニア代表取締役)が聞いていきます。
