「日本企業の価格設定(プライシング)に対する考え方は遅れている。一番の課題となっているのはテクノロジーではなく、実は人間のほうだ」
そう語るのは、書籍『新しい「価格」の教科書』の著者でプライステックサービスを提供するハルモニア代表取締役の松村大貴氏だ。
松村氏は、日本経済に対する危機感と日本のプライシングにおける課題を「なぜ日本の価格決定力は低いのか──変動価格が広がる「価格3.0」の時代とは」で指摘した。その続編となる本稿では、これからどのようにプライシングを考え、アップデートを行っていけばいいのか、松村氏が具体的に解説する。
顧客目線に立ち返ることから始めよう
企業のプライシング変革において基本となるのは、「バリューべース・プライシング」という考え方です。
日本では製造コストに対して必要な利益を乗せるという価格決定、いわゆる「コストベース・プライシング」の考え方が長らく一般的でした。この考え方を、顧客から見たときにどのくらいの価値があるのかというバリューべース・プライシングに変えていくことが重要です。