若宮 總
イランの若者が「対イスラエル戦争」を熱望する、屈折した理由
パレスチナのガザ地区でイスラエル人とハマスが戦闘を開始して1年が経った。しかし今年に入り戦局は一変。9~10月、イスラエルとイランがミサイルの撃ち合いを始めたのだ。イスラエルとの全面戦争待ったなしという状況下、当のイラン人はこの中東情勢をどう見ているのか。そして、アメリカ大統領選でトランプ氏が勝ったことはどう影響するのか?まったく違う方向を向いている、イラン政府の思惑とイラン国民の気持ちを、『イランの地下世界』(角川新書)の筆者がわかりやすく解説する。

「厳格なイスラム国」イランの裏の顔、高級な酒とつまみ、DJが盛り上げ露出度の高い女の子が踊る…
1979年にイスラム革命が起こって以来、イスラム法学者を最高指導者とし、イスラム体制を維持してきたイラン。イスラムでは酒はタブーなので、イランも厳格な禁酒国であり、酒の持ち込みも禁止、外国人も酒は飲めない……はずなのだが、実はそうでもないのだという。筆者はどうやってイランで酒を入手してきたのか。そしてイランで飲んだおいしいお酒とは?

「家の中でもベールなんて最悪~!」イラン女子高生たち、オンライン授業での「珍妙すぎる服装」とは?
コーランには「神は女性に対し、外に表れるもの以外の美しさを目立たせてはならない」といった主旨の一節があり、ムスリム女性はスカーフやベールで頭髪を隠し、体のラインがでないようなゆったりした服装をするのが望ましいとされている。イスラム共和国であるイランには、ベール不着用者への罰則があり、公共の場で着用していないと鞭打ちの刑を受けることもある。2020年代、コロナ禍のイランでもオンライン授業や会議が普及した。家の中ではスカーフの着用義務はない。オンライン授業やホームパーティで、イランの女子たちがどんな格好をしているかというと……。

女性にスカーフ着用強制のイランが一転「黙認」、それでも市民が喜べない複雑なワケ
政教一致の国・イランでは、女性は公共の場ではヒジャブ(スカーフ、ベール)を着用して髪を隠さなくてはならない。しかし2022年9月、テヘランで22歳のイラン人女性が「スカーフを着けていなかった」と道徳警察に逮捕され、暴行を受けて数日後に死亡するという事件が起きた。これをきっかけに人々の怒りが爆発、女性や若者を中心に、イラン全土で反政府デモが行われた。あれから2年。首都・テヘランでは現在、大勢の女性たちがスカーフなしで街を歩いている。イスラム体制が崩壊したわけでもないのに、いったい何が起こったのだろうか?

「イスラム教徒、やめました」礼拝を欠かさなかった30代イラン人男性が心変わり!その根深い事情とは
イランは政教一致の国と言われている。1970年代末にイラン=イスラム革命が起き、イスラム法学者が政治を導く国となったからだ。もちろん国民はみなムスリム(イスラム教徒)ということになっている。しかし現実のイランは政治も経済も混乱が続いている。アメリカの経済制裁により原油の輸出ができなくなり、経済は低迷し、国民は貧しくなった。このような状況下でも、本当に国民はイスラムによる政治を信じ、敬虔なムスリムとして生きているのだろうか?答えはNO。実際には宗教が弱体化し、若者のイスラム離れが進んでいるという。「イスラムは絶対」と思えなくなっている、イランの若者の生の声とは……。

【要注意!】初対面のイラン人に「イランはとてもいい国ですね」と伝えると激怒される理由
イスラム体制による、独裁的な権威主義国家として知られるイラン・イスラム共和国。日本ではイランの情報は極めて少ないが、実はイランは大の親日国である。日露戦争の勝利や日本製家電、「おしん」の人気などに加え、1980年代以降に日本へ出稼ぎにやってきた大勢のイラン人労働者たちが日本びいきになり、帰国後に「日本はいい国だ」と宣伝してくれたことが大きかったという。もし、あなたがイラン人と話す機会ができたら「イランはどうですか?」と聞かれるかもしれない。その時「とてもいい国ですね」と言ってはいけないと筆者は言う。その理由とは?
