イスラム体制による、独裁的な権威主義国家として知られるイラン・イスラム共和国。日本ではイランの情報は極めて少ないが、実はイランは大の親日国である。日露戦争の勝利や日本製家電、「おしん」の人気などに加え、1980年代以降に日本へ出稼ぎにやってきた大勢のイラン人労働者たちが日本びいきになり、帰国後に「日本はいい国だ」と宣伝してくれたことが大きかったという。もし、あなたがイラン人と話す機会ができたら「イランはどうですか?」と聞かれるかもしれない。その時「とてもいい国ですね」と言ってはいけないと筆者は言う。その理由とは?(イラン在住日本人 若宮 總)
イランで初対面の人に「イランはどうですか?」と聞かれたら
イランで初対面の人に会うと、必ず「イランはどうですか?」と聞かれる。まあ、どこの国でもそうだろう。
イランがほかの国と違うのは、そのあとだ。社交辞令だと思って「とてもいい国ですね」などと返そうものなら、イラン人たちはたちまち眉間にシワを寄せて、こちらに詰め寄ってくる。
「どこがいい国なんですか!? お世辞なんか聞きたくありません!」
そう、彼らは外国人に自分たちの国を「ひどい国だ」と言ってほしくて、この質問を投げかけているのである。そう言ってもらわなければ、日頃の苦労が報われないからだ。
あるとき、私は道で10歳くらいの男の子に話しかけられた。つぶらな瞳で「イランはどう?」と聞く。
模範解答どおり「ひどい国だ」と答えると、男の子はまるで出来のいい生徒を前にした教師のような表情で深くうなずき、次の質問に入った。
「じゃ、どこがひどいか知ってる?」
うーん、どこと言われると、なかなか難しいなあ。政治、経済、教育、文化……。この国には問題がありすぎて、どれから挙げたものか、見当がつかない。