10年で資産10倍、1億円も見えてきた!
独身かつ下流(自称)のサラリーマンだけど、じつはスーパー個人投資家。それがwww9945氏(以下・9945氏)だ。940万円ほどの元手で株を始めたのが10年前。現物株を中心に信用取引、外国株、先物・オプションなど幅広く手がけ、資産は9000万円近くまでふくらんだ。
「メインで使っているのはSBI証券。それにカブドットコム証券もたまに使います。こちらは現物株を担保に先物やオプションが取引できるので使っていました。ただ、先物は夜も取引できてしまうので精神がもたない(笑)」
株主優待ありきは本末転倒!「バリュー×優待」を貫く
9945氏の中心は株。それもバリュー投資だが、そのポートフォリオを見ると2000万円以上が株主優待銘柄。9945氏はバリュー投資家でありつつ、株主優待マニアでもあるのだ。
「株主優待がもらえたからといって株価が下がって損するのは本末転倒。株主優待だけを目的に株を買うことはありません。20銘柄くらいが『割安な銘柄を買ったら、たまたま株主優待がついていた』というケースです」
9945氏の優待投資は値上がり益ありきでのバリュー株主優待。男くさいやり方なのだ。シブ味に富む9945氏の「男の株主優待」論、聞いてみよう。
「業種でいえば、ハイテク産業など景気敏感株は好きではありません。事業内容がわかりづらいし、割高であることが多い。好きなのは小売や卸、倉庫関連など。卸屋や倉庫などの地味な銘柄は株価が割安であることが多いし、小売は自分でお店を見たり、月次売上で業績を確認できる。こうした銘柄は株主優待を実施しているところも少なくないので、割安感が見直されるまでの間に株主優待がもらえる」
バリューありきだからPBR、PERといった基本的な指標で先に割安感を見て、その次に四季報などで株主優待内容をチェックしていく。
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「優待を調べるときによく使っているのが、コレですね」
と9945氏が取り出したのはスマホ…ではなくガラケー。そして、古ぼけた小型の電卓。決してデジタル好きというわけでもなさそう。親近感が湧くではないか。
「SBI証券の『株主優待検索』です。『来月末に権利確定する優待はなにがあったっけ』というときに便利なんです。あとは7月に出るザイについてくる株主優待カタログもよく見ています」
SBI証券の「株主優待検索」は優待利回りや、権利確定月や株主優待内容のジャンル(食品や男性向け・女性向けなど)で検索できる便利な機能だ。
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「配当利回り3%以上と、それに優待内容を金額換算した優待利回りを足した実質利回りで5%以上が大まかな基準。そこから先はチャートや業務内容を個別にチェックしていきます」
そうやって1銘柄ずつ丹念に見ていった結果、85銘柄(9月末時点)、2000万円を超える株主優待ポートフォリオが完成したわけだ。しかも太っ腹な9945氏、今回はザイ・オンライン読者に優待ポートフォリオをすべて公開してくれた!
こちらの表を見ると、85銘柄中、購入時よりも株価が下落しているのは25銘柄のみ。残り62銘柄では株価が上昇し含み益が発生している。合計10%以上の含み益が発生している。「株主優待ありき」じゃないことの証明なのだ。
「換金性」を重視しつつ、極力自分で使う
前ページの85銘柄のなかから、9945氏のこれぞという銘柄を教えてもらおう。
「基本方針は『金券重視』。投資が第一目的なので換金性は大切です。ただ、実際に換金してしまうと価値は目減りします。500円の金券を換金しても400円程度になっちゃうので、なるべく自分で使うのが基本です。自分で使いきれないものは誰かにプレゼントですね」
ちまちま金券ショップへ通うなんて男らしくない。男なら黙って自分で使うべし!
「金券でとくに多いのがお米券。約50銘柄がお米券やお米の株主優待を行なっているんですが、そのうち11銘柄がポートフォリオに入っています」
詳細は下記の図を。お米券が中心だが、よく見ると「こしひかり」や「あきたこまち」などのブランド米も。ちなみに9945氏のお米ポートフォリオを合計すると33kg(お米券1枚1キロ換算)。8月末までなら43kgあった。農林水産省によると国民1人あたりの米の消費量は年間約60kgだから、9945氏の主食の3分の2は優待でまかなえていた計算になる。
「実際のところ、独身で外食も多いので消費しきれないですよね(笑)。しかも中央倉庫(9319)は3年以上の保有でお米券が1枚増えるんです。まだ2年目なのでもあと1年。チャート的にも長年底ばいなので、そろそろ上昇しそうな気配もあって面白そうです」
www9945氏選定のグルメ株主優待ナンバーワンは?
外食がちな9945氏。ぱっと見た感じ、ちょっとお腹まわりが目に付くが、このお腹、俗に「優待太り」。株主優待エリートの証でもあるのだとか。マジか…。
「食品株主優待ナンバーワンを選べと言われたら推したいのがレシップホールディングス(7213)。バスの運賃箱や行先表示板を作っている渋い会社ですが、株主優待の『富有柿』は渋みがなく甘い! 絶品です。あとはカタログギフトもいいですね。自分に必要なものが選べるので」
9945氏のポートフォリオで言えばトランコム(9058)や信金中央金庫(8421)、だいこう証券ビジネス(8692)、アズワン(7476)などがカタログギフト株主優待を行なっている。
女性へのプレゼントは、化粧品より殺虫剤!
株主優待といえば、女性向けの商品も多い。化粧品会社の株主優待でもらった品を女性へのプレゼントに使えば、一挙両得感があるが…。
「甘いですね。化粧品は人によって好みがあるので何でも喜ばれるほど単純ではない。でも、鉄板で喜ばれるものがあるんです。それがアース製薬(4985)です。株主優待は自社製品の詰め合わせなんですが、殺虫剤や芳香剤は自分で買おうと思うと結構値段が高いものなので、必ず喜んでもらえますよ」
まさかの殺虫剤か。確かに殺虫剤に好みがある人というのはあまり聞かないし、あげれば喜ばれそうだ。では、女性が好きそうなものといえば「旅」。全日空(9202)の優待券なんて「一緒に旅行しよ♪」ってプレゼントに使えそうなものだが…。
「アナァ? 100回生まれ変わっても買えないですね(笑)。このLCC時代に制限が多い半額優待券にはまったく魅力を感じませんし、換金率が悪すぎます。第一、公募増資を株主総会の後に発表するなど、投資対象として信用がおけません」
これぞ男の優待道! チャラい優待なんて歯牙にもかけない。質実剛健なのだ。
米の量を減らしただけなのに、株価は大暴落
「優待狙いで怖いのは、なんといっても株主優待の廃止や改悪。この間も、お米の株主優待銘柄として有名だったオーシャンシステム(3096)が株主優待内容を改悪した途端、株価が850円前後から700円まで急落しました」
オーシャンシステムの場合、株主優待の廃止ではなく、送っているお米の量を減らしただけだったのだが、もともと100株で魚沼産コシヒカリ5kgという太っ腹さだっただけに、インパクトは大きかったようだ。ちなみに変更後は200株でコシヒカリ3kgだ。
「株主優待銘柄では、株主優待内容の改悪が下方修正なみの影響になることもあります。今回のオーシャンシステムの場合は100株だけの保有で金額的なダメージも小さいので翌日即売り。ここからの動きを見て、また買うかどうか検討します。
また、アリアケジャパン(2815)も10月5日に優待を廃止して配当を増額する発表をしましたが、業績に底打ち感もあったので、こちらはホールドするつもりです」
「冷静な判断+潔さ」も男の株主優待道では大切。インパクトを見定めた上で再検討して、割安感があるようなら再度購入すればいい。
最後に、これから株主優待投資をはじめてみたい人へのアドバイスを聞いてみた。
「これから優待を始めるなら、SBI証券や楽天証券などの大手ネット証券が情報が豊富でいいですね。ただ、実は最近はポートフォリオの中の外国株比率を高めています。日本株がダメになるリスクを考えると、外国株を増やしておきたい。そのとき大手ネット証券なら外国株の取り扱いも多いので、すぐに移行できる。取り扱い商品の幅広さでも、大手ネット証券がおすすめです」
www9945さんの男の株主優待道、ぜひ投資のご参考に!
(取材・文/高城 泰)
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