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2016年4月28日公開(2016年4月28日更新)
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ザイ編集部

日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の郵政3社
株価下落の裏側と「5月急落説」を追った!
プロ4人に聞いた、今後の株価の見通しとは?

日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の郵政3社の株価は、2015年11月の上場直後の滑り出しこそ上々だったが、年が明けてから急落。3つの逆風に晒されており、「5月急落説」まで囁かれている状況だ。果たして今後どうなるのか。4人のプロが激辛診断を下した。

日本郵政傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命は
常に売り出しリスクがくすぶる状況が続く!

日本郵政(6178)ゆうちょ銀行(7182)かんぽ生命保険(7181)の郵政3社の株価は、2016年年初から急落し、現在は初値を下回る水準だ。中でもゆうちょ銀行は公募価格まで割り込んでしまっている状況にある。さらに、5月急落説の要因となっているのが、上場から半年が経過したことによるロックアップの解除(上場前から保有する大口投資家の売り解禁)だ。

昨年末までは3社とも株価は堅調だったが、2016年年初から急落。ゆうちょ銀行は現在でも公募価格割れの水準だ。

 まずは、郵政3社の株価を下落させる要因となっている3つの逆風について、整理しておこう。

【逆風1】マイナス金利で国債の運用が困難に!

 融資業務が認められていないゆうちょ銀行は、貯金で集めた資金で日本国債などで運用するしか利鞘を稼ぐ術がない。だが、マイナス金利では国債だけでなく、株式等での運用が必須に。

【逆風2】配当利回りで見て銀行株よりも劣る!

 マイナス金利に伴い、ニューソブリン銘柄(国債の代替となる安定配当大型株)が注目されている。郵政3社も該当するが、同じ金融業界のメガバンクなどと比べると配当利回りは低い。

【逆風3】ロックアップの解除で売り圧力が強まる

 ロックアップとは、株式を新規公開した際に、創業者や他の大株主が一定期間(180日が一般的)、保有株を市場で売却できないというルール。5月1日に、郵政3社のその期限が到来。

以下、3つの逆風について詳しく解説していこう。

融資業務ができないゆうちょ銀行はマイナス金利の影響大
0.1%の金利変動で650億円の経常利益が増減する

 1つ目は黒田日銀によるマイナス金利の導入だ。SMBC日興証券の中村真一郎さんは指摘する。

 「他の大手銀行と比べても、ゆうちょ銀行(7182)はマイナス金利の影響が一番大きい。投資信託販売などの手数料収入が占める比率が低く、日本国債の運用などで得られる収益に依存しているからです。試算では国内運用の利鞘が一律0.05%減少すると、ゆうちょ銀行の経常利益は20%減少しますが、メガバンクは5%程度です」

マネックス証券の大槻奈那さんもマイナス金利による業績悪化を警戒する。

 「ゆうちょ銀行(7182)は2016年3月期の経常利益は前期比19%減見込みでしたが、現在、上場時の前提条件よりも環境が厳しくなっています。中期経営計画によれば0.1%の金利変動で650億円の経常利益が増減しうるとされていますが、発表時からすでに0.1%以上金利が低下しています」

 国債から得られる利鞘が収益源なのはかんぽ生命も同様だ。もっとも「ゆうちょ銀行(7182)は5兆円規模の潤沢な含み益を抱えていることも事実です」と中村さんは指摘する。

 「過去に取得した高利率の債券を売却して運用益の減少を補えば、今後5年程度は利益や配当の維持は可能です。ただし、それ以降は金利が上がらないと利益の持続が徐々に難しくなっていきます」

メガ3行との比較で配当も魅力なし、
ロックアップ解除での提携策は如何に

 2つ目の逆風は配当株という観点から捉えた場合、ライバルに比べて“劣勢”な点。

 「ゆうちょ銀行(7182)は上場前の計画でも2018年3月期は2015年3月期比で16%の経常減益となっていましたが、マイナス金利の影響でこれを上回る減益幅となる可能性も否定できません。これでは配当性向を高めても、配当の絶対額は増えません」(大槻さん)

 過去の貯金(含み益)を取り崩して利益を確保すれば安定配当は死守できるが、ジリ貧なことには違いがない。将来性が危惧されて足元でもゆうちょ銀行(7182)行は公募価格割れの水準に甘んじているのだ。

 3つ目の逆風は需給面の悪化。新規公開から半年を経た5月2日、ロックアップが解除される。

 「日本郵政(6178)は持ち株会社としてゆうちょ銀行(7182)かんぽ生命保険(7181)を傘下に収めているが、持ち株比率を50%以下に下げないと民業圧迫の批判により新規サービスを打ち出しづらい。早く売りたいのが本音です」(SBI証券・藤本誠之さん)

 場中で売られることはないが、ゆうちょ銀行(7182)かんぽ生命保険(7181)は常に売り出しリスクがくすぶる状況で株価の重しとなる。

楽天証券の窪田真之さんはこう指摘する。

 「政府は日本郵政株の持分の処分で4兆円を調達し、それを復興に充てることが決まっています。環境が良好ならば追加で公募売り出し、悪ければ日本郵政による政府からの自社株買いのみで少しずつ処分することも考えられます」

 また、中村さんは次のように話す。

  「日本郵政(6178)の利益の9割は傘下のゆうちょ銀行(7182)かんぽ生命保険(7181)が稼ぐ金融ですが、2社の株式売却により利益が低下します。ただし、もともと金融のROEは3~4%と低く儲かりません。上場時は2社を売ったお金で自社株買いをしましたが、それだけでは縮小均衡。M&Aで稼げる分野に投資すれば、10年スパンでは郵便局チャネルを活用した高齢者に強みを持つ生活関連企業などに変化していくポテンシャルがあります。今後について大事なのは不透明感の払拭。現在の市場は0.3%程度のマイナス金利までは織り込んでいますが、いつ打ち止め感が出るかに注目しています」

 「5月危機」こそ避けられそうだが、3社とも当面は3つの逆風で上値は重いことを覚悟しておくほうが賢明だ。


 ところで、4月21日(木)発売のダイヤモンド・ザイ6月号には、大特集「円高にも負けない!下落にも強い!全25部門・株主優待株買いの174」を掲載!

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