「企業理念に則った提案」が社内プレゼンのコツ

――なるほど。それでは、相手を一発で説得するためには、何が重要なのでしょうか。

前田 うーん、『社内プレゼンの資料作成術』には、そのための具体的なポイントをいくつも書いたのですが、「そのなかでも最も重要なポイントは何か?」と聞かれたら、「企業理念に則った提案をすること」だと思いますね。

――「企業理念」ですか?ちょっと意外です。もっと、テクニカルなことだと思っていたので……。

前田 ええ。もちろん、テクニカルなポイントも大事ですし、ビジネス合理性も大事ですよ。
 だけど、それ以前に、企業理念をしっかりと踏まえた提案でなければ説得力は生まれません
 企業理念とは、「その会社がなぜ存在するか」「その会社が何をして社会の役に立とうとするか」を言語化したもの。
 つまり、企業としての「思い」ですよね。その「思い」がさらに強くなったのが「念(おも)い」。「理念」に「念」という字が使われているのも頷けるかと思います。
 この「念い」がこもっていなければ、どんなにテクニックをもっていても、心には響きません。
 逆に、会社の「念い」に合致した提案であれば、経営陣も腹落ちがしやすい。

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横田 確かに、企業理念に則って提案をすると、提案の意義が明確になる。つまり、すべての提案が「この提案をこの会社でやらなければいけない理由」になるわけですね。
 ただ、そのためには、企業理念がどこまで社員に浸透しているかがカギになりそうですね。

前田 その通りです。
 一例をあげると、ソフトバンクは孫正義さんが立ち上げた創業者企業ですから、企業理念をことあるごとに口酸っぱく述べて、経営幹部にも一般社員にも浸透させています。
 だから、社員からの提案にも企業理念が自然と反映されていて、その結果、意思決定も速くなるという好循環があるように思います。
 一方で、たとえば雇われの社長が率いる会社だったり、創業者から跡を継いだ2代目、3代目が社長を務める会社だったりすると、どうしても「企業理念」は薄らいで、「今期の売上目標」や「今期の利益」ばかりが語られてしまう傾向にあります。
 ところが、その根っこに社内で共有している「理念」のようなものがないと、経営陣の意思決定にもどこか自信がない。その結果、実行力が伴わないケースが多いように感じますね。つまり、意思決定の質が低いのです。