ホンダが米国でアキュラを立ち上げてから30年。その後、トヨタ自動車が高級車ブランド「レクサス」を投入し後追いした経緯があるのだが、両社の明暗は分かれた。昨年の米国での販売台数で比較すると、アキュラ18万台に対して、レクサス34万台とダブルスコアに近い差をつけられた。ホンダにとって、アキュラのてこ入れは積年の課題なのだ。新型NSXはアキュラ再構築の突破口となるのかどうか。新型NSXに対する技術的な評価は申し分なく、アキュラをけん引する潜在能力は高い。

 もっとも、懸念されているのが、新型NSXの生産持続性だ。初代NSXにはバブル崩壊や環境規制を背景に生産停止となった“前科”がある。あるホンダエンジニアは、「NSXの専用工場が固定費の負担を招いた」と当時を振り返る。この点について、新型NSXの生産責任者であるクレメント・ズソーザ氏は「過去を教訓に、少量生産プロジェクトとして生産方法に工夫を凝らしている。“景気変動があってもやめない体制づくり”が伊東孝紳前社長からの指示だった」と言う。となれば、高級スポーツカーの生産継続のためには、いつまでも採算度外視というわけにもいかず、綿密な販売戦略の構築は焦眉の急だ。

 また、アキュラの価値向上には、新型NSXに続く二の矢、三の矢となる新型車投入が必要になることは言うまでもない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)