ビジネスでは男性的な
思考や価値観だけが正しい?
「女性管理職を増やせと言われても、能力のない女性を無理やり役職につけることはできませんよ」――女性活躍推進法が成立し、積極的な女性の管理職登用が叫ばれる中、現場からは不満ともとれるような声が漏れ聞こえてきます。
女性というだけで、管理職にはできない。これはまぎれもない正論です。私は女性の活躍推進を積極的に進めていきたいと考えていますが、当の女性たちには「ウーマンではなくヒューマンでいけ」と伝えています。男性も女性も関係なく、仕事で認めさせることができる人が、正しく評価を受けてほしいと思っています。
◆図1 女性管理職の割合
とはいえ、日本のビジネス界では、男性的な思考や価値観こそが正しいものだ、という認識が強すぎることがあります。24時間働け、家庭は省みるな、上司には絶対服従しろ、など少しオーバーに表現しましたが、いまだにそんな価値観こそが正しいと思われる傾向は強く残っています。もちろん、男性的といわれるような思考がビジネスでは有利に働く場面も多いのですが、本当にその考えかたこそが正しいのでしょうか?他のやり方で成果をあげる方法はないのでしょうか?
私は数多くの女性たちを育成してきましたが、男性と同じように女性には本当に優秀な方がたくさんいます。ところが、先に述べたような、男性的価値観に合わないという理由だけで、せっかくの能力を正しく評価されていないケースが少なからずあるようです。これは本当にもったいないことです。
リーダーシップの2パターン
「目標達成」型と「集団維持」型とは
リーダーシップのあり方は一つではありません。お父さんとお母さんをイメージしてみてください。二人とも「子どもを育てる」という共通の目的を持っていたとしても、そのあり方は自然と全く異なります。厳しく叱ってくれる父と、どんな自分も受け入れてくれる母。背中で見せてくれる父と、いつも自分を応援してくれる母。家庭により差はあれど、父親と母親で違う役割を担っていることは当たり前にあります。