東北地方に強い地盤を持つ食品スーパー大手のヨークベニマル(福島県郡山市、大高善興社長)は、10月15日、宮城県仙台市に医薬品や一部制度化粧品を品揃えしたH&BC売場を設置する、新荒巻店をオープンさせた。これまでコスモス通り店(福島県郡山市)で実験的に行ってきたOTC2類、3類の医薬品販売を踏まえ、今回のスタートとなった。

 新荒巻店は市内青葉区の住宅地に立地し、売場面積は643坪。うち店舗中央部にある15~20坪を医薬品を中心としたH&BC売場とした。売場を統括する小野文也執行役員住居事業部長によれば、同チェーンの主要な客層である女性客に対して、美と健康は強い訴求力を持っており、その層に対してアピールを強めていきたいとのこと。そのために、従来は飲料売場に置かれていた「薬と加工食品の間」(小野部長)にあたるスポーツドリンクや健康茶などは、H&BC売場に積極的に陳列。OTCによる病後の治療だけではなく、予防、健康維持を強く訴えていく売場づくりを心がけている。

 売場づくりにあたっては、同じセブン&アイグループに所属するセブンヘルスケアから「7(セブン)美のガーデン」での知見を収集。グループ内での情報共有に基づいたかたちでMDを展開する。また仕入れ条件に関しても、セブン&アイグループが一括で行っており、ヨークベニマルでも100%、グループの仕入れ条件で取引を行っているとのこと。「当社の数店だけでは当然、仕入れ条件は厳しくなる」と小野部長が話すように、セブンヘルスケアと組むことで、グループメリットを存分に発揮している格好だ。

グループメリットを活用し
競争力高め
地域一番店づくり

 カテゴリーの初年度売上高目標は約2550万円。現在、H&BCカテゴリーを管理する住居部門では、生活雑貨が年間7、8回転程度の在庫回転率を見せていることから、H&BCに関しても「これを目安に、そこから下げるわけにはいかない」という意気込みで臨む。粗利益については「(30%程度と言われれば)そこが目標」となり、OTCだけではなく、ビューティケア商品も積極的に販売していくことで、高い利益率を実現していきたいとのこと。近隣には競合となるドラッグストアが少なく、苛烈な価格競争はしばらく避けられそうな同店(半径1km圏内に大手DgSは1店舗)においても、実際にNB商品だけを販売していくだけでは粗利30%の実現は難しい。

 2年後をめどにセブンヘルスケアのPB商品が導入される予定があり、是が非でも直近で高い利益を確保するというよりも、地域一番店をめざしつつ、数年先まで見据えた売場づくりで競争力を上げていく方針があるようだ。

 今後、同社では、店内テナントに医薬品販売業の出店がない既存店を中心に、3年で15~16店舗ほどのH&BC売場を設置していく予定。登録販売者の育成も提携するアインファーマシーズの教育システムを活用し、積極的に行っていくとのこと。ドラッグストアとは異なる食品スーパーならではの、食品MDと美と健康の融合がどのように実現するか注目だ。


「ドラッグストアニュース」12月号 好評発売中!

12月号の『ドラッグストアニュース』は、緊急企画と新連載に注目です。緊急調査レポートは、調剤ポイントの付与によって持ちこみ先が動き始めた処方せんの行方をシミュレートします。また、新連載は、ドラッグストア最高収益企業・サンドラッグをつくり上げた男、才津達郎社長が書き溜めた経営論直伝『問題解決の発想と組織づくり』発想編がスタートします。本誌だけが読者の皆さんにお伝えするオリジナル企画です。
第1特集は、地域医療サポートでビジネス拡大と地域のインフラとしての機能拡大を図る企業のいまを取り上げます。第2特集は環境対策。外食企業やホームセンター企業の先進事例を紹介し、ドラッグストアの環境への取り組みを考えます。
見逃せない情報を満載した『ドラッグストアニュース』をお見逃しなく!
購読のお申し込みはこちらから