ヘルメット不要!トヨタ車体「COMS」は
個人ユーザーにも便利

 トヨタ車体の電気自動車「COMS(コムス)」は、セブンイレブンの宅配車などとして街中でおなじみだ。定格出力0.59kW(50cc相当)の1人乗りで、道路交通法では「ミニカー」に分類される。四輪だから自立するし、普通自動車免許で運転でき、50cc扱いでありながら 二段階右折や制限時速30kmの制約もない。

 客先を訪問するたびにいちいちヘルメットをぬぐ必要がなく、髪の乱れを気にせずに済むことが外回りの女性にはありがたく、群馬ヤクルトや名古屋銀行などが営業車に使用しているという。

 そのように企業利用のイメージの強いCOMSだが、ミニカー分類ゆえに車庫証明の必要がなく、車検も不要で、保険や税金も安いことから、バイク代わりのパーソナルコミューターとして個人で利用している人もいる。

 ただ悩ましいのは価格と、エアコンがないことだ。前述のアディバADシリーズと同じく軽自動車も視野に入る価格帯だし、それなのにエアコンがない。オプションの幌(サイドバイザー)で雨を防ぐことはできるが、それを全開にして走ったとしても、風冷効果は四輪車の域を出るものではなく、バイクのように真夏でも快適とはいかない。

 トヨタ自動車も三輪式の電気自動車「i-Road」を開発中だが、こちらにも車両価格と、エアコンなしという同じ問題が立ちはだかる。

 つまりバイクも、ミニカー分類の電気自動車も、一長一短なのだ。バイクの軽快性は極力スポイルせずに、三輪スタイルの安全性で四輪車の領域への越境を試みたのがヤマハ・トリシティだ。そのうえ価格競争力でも優れており、総合的に評価するなら、最高点にふさわしいのはやはりこれだろう。

 このタイプが バイクに代わる新しい乗り物として認知され、二輪と四輪の垣根を越えて受け入れられれば、より四輪に近い性質のモデルも各社から安価に出されるようになり、さらに幅広く老若男女に広まっていくことだろう。

 ただしそれには、バイクの免許制度と駐輪場問題の改善も不可欠だ。普通自動車免許で運転できるのは日本では50cc原付一種のみだが、世界的には125ccまでOKというのが主流だ。さらにフランスでは、三輪で幅広(前輪間の距離が460mm以上)のスクーターならより大排気量のクラスでも7時間の講習により普通免許で運転できる。そして東京都心には、駐禁取締りの厳しさにバイク駐輪場整備が追いついていない問題がある。

 バイクへのネガティブイメージを払いのけたその先に、そして超小型モビリティへの固定観念を突き破ったその先に見えてくる、新たなパーソナルコミューターの可能性に期待したい。

(待兼音二郎/5時から作家塾(R)