「分からなければ、やっていい」。富山市の市議もこれだった。東芝の粉飾決算も同じである。社長から「業績を上げろ」「チャレンジ!」と号令を掛けられ、経理部門が中心になって組織的な粉飾が行われた。

 三菱自動車の燃費データ改竄も「どうせわからない」から始まった。「それはダメだよね」と誰かが言えば止まったかもしれない。

 言いだせない空気を作ったのはトップの責任だ。三菱の場合、やり直し検査でも不正な方法で測定していた。不祥事が発覚しても体質が改まらない。

 三菱は日産グループに入ることが決まり、逃げ切れると思ったのではないか。モラルの緩みは益子会長に責任があるが、責任を取ろうという態度は全く見えない。

 売上はがた落ちで、従業員の給与を減らす。下請けへの発注も減り、経営難に陥る部品メーカーもあるという。

 消費者を騙し、役所を欺き、従業員を苦しめ、下請けを泣かす。それでもトップは、資本提携の大船に乗って「一件落着」とでも思っているようだ。これが三菱の経営なのか。

 ビジネスの世界で、経営者の劣化が目立つ。いつからこうなったのか。

20年目のもんじゅ漂流
官民こぞって責任逃れ

 モラル崩壊は「官」の周辺では以前から起きていた。

「もんじゅ」の漂流は20年も続いている。「もはや廃炉しかない」と誰もが気づきながら、貧乏くじを引くのを避けてきた。

 責任者はだれなのか。見えない。事業主体の日本原子力研究開発機構に責任がある。安全管理をちゃんとやってこなかった。原子力規制委員会から昨年11月「新たな運営主体を半年をめどに探せ」と文科省は勧告を受けている。

 機構が組織としてガタガタなのか、もんじゅは機構の手に負えないほどガタガタなのか。いずれにせよ機構ではダメということだが、理事長の児玉敏夫氏は三菱重工副長から昨年4月1日、就任した。当時の朝日新聞にこう書かれていた。

「三菱重工はもんじゅの開発企業で利益相反の懸念があるため、外部有識者らによる第三者委員会を新たに設置し、透明性を確保するという」

 利益相反が疑われる立場の人が理事長になる。監視する第三者委員会が必要というのである。なぜ、そんな人が難しい組織の理事長になるのか。ここからおかしい。