「今回はスバルのアニメだけではない。ガイナックスのアニメとして僕らの主張も強く打ち出したい。車を登場させなくても、車の代わりとなる何かでスバルの良さを表現してみせる」という決意が芽生えたのだ。そして、おぼろげながら「スバルという存在自体を追求しよう」という、ガイナックスが本企画で目指す方向性が見えてきたのだ。

 そして、さらに激論を繰り返しながら、2社は切磋琢磨した。またガイナックス側のスタッフの間でも、自分はこういった映像を作りたいという激しいぶつかり合いが日常化した。スタッフ皆が毎日ニコニコしながら進むのではない。誰もが、自分自身のものづくりの精神で負けたくない。そして、ティザーサイトで掲げたキャッチコピー「ものづくりへの誇り、それを貫き通すスピリッツ」は、本企画での2社の本音になっていった。

 こうした経緯で進んだ本企画であるから、制作者側のガイナックスにとって、いつも頭にあるのは企業広告と純粋なる作品とのバランス感だ。この点について、今回のインタビュー中、こちらも様々な質問をし、それに対して高橋氏も真剣に考え、言葉にしてくれた。

筆者 「結局のところ、(本企画を)いままでやってきて、やりやすいですか、やりにくいですか?ご自身がスバル好きということがあっても、仕事でクルマ関係との接点はなかったでしょうから」

高橋氏 「正直なところ、つい最近までずっと悩んでいました。僕たちが大事にしたのは、アニメをいろいろなお客さんに見て欲しいということ。短期間に、ゼロから作って皆さんに広げることは本当に難しい」

筆者 「基本的にスバル車を画面に出さないこと。これが難しい?」

高橋氏 「スバルのアニメなので車を出せば簡単です。ですが、何事もゼロから生み出すのがガイナックス。車を出さないで、この作品を見た結果が『あー、スバルだな』とつながることを信じて、怖いんですが、車を避けた、というのが本音ですね。(本企画のスバル側の担当者の)の鈴木さん自身からスバルの良さを伝えてくれ、という言葉があったからこそ、僕らガイナックスの良さをそのまま出そうと思ったのです」

筆者 「それほどまでに、ゼロからやることは難しいですか?」