スズキ「eビラーラ」プロトタイプ試乗会の様子スズキ「eビラーラ」プロトタイプ試乗会の様子 Photo by Kenji Momota

スズキは7月10日、新型EV「eビターラ」日本仕様のティザーサイトを公開した。同社としてEVを本格量産するのは今回が初めて。日系、欧米系、中国系、韓国系メーカーなどが多くのEVをすでに市場導入している中、大衆車メーカーであるスズキが追求するEV像とは?プロトタイプに乗って探った。(ジャーナリスト桃田健史)

世界戦略EV第1弾として、スズキの考えを具現化

 なるほど、こう出たか――。

「eビターラ」で走って、スズキが目指すEV(電気自動車)事業の方向性が理解できたように感じた。

 試乗直後、BEVソリューション本部BEV B・C商品統括部長兼eビターラ・チーフエンジニアの小野純生氏と意見交換して、さらに理解が深まった。

 なお、今回乗ったクルマは、プロトタイプだ。そのため、公開された各種データは暫定値であり、乗り味やハンドリングについては量産に向けて今後、何らかの改良がなされる可能性があることをご了解いただきたい。

 では、車両のスペックを見ていく。

 ボディ寸法は全長4275mm×全幅1800mm×全高1640mm、ホイールベースは2700mm。

 デザインのコンセプトは、EVの先進感とSUVの力強さを併せ持つ「ハイテック&アドベンチャー」とした。

 EVらしいロングホイールベース、四隅に踏ん張る大径タイヤ(18インチ)、ロングキャビンなど、SUVらしい立ったフロントウインドー、厚みのあるフード、力強いフェンダー、量感のあるショルダー…。

 そんなスズキの“言い分”に対して、筆者としてはトキメキや感動はない。

 デザイナーやモデラーは、情熱を持って製作にあたったとは思うが、それ以上にこうしたデザインには商品企画としての戦略性が色濃い。

 スズキの「世界戦略EVの第1弾」として、デザインとして下手なまねはできない。

 かといって、世界市場でBセグメントと呼ばれる小型車の新作として、スズキらしさを十分に主張することは必然だ。

 そうした状況を考えると、こうした現代社会においてはオーソドックスな意匠に落ち着いたのだと思う。