ティア1買収のメリット

 むろん、帝人とてティア1になることのリスクは心得ているが、「リスクとリターンの兼ね合いですよね」と、帝人幹部は“リターン優勢”に自信を見せる。

 CSP社は、車体の軽量化に寄与するガラス繊維強化プラスチックを使った部品のティア1として知られた会社だ。自動車業界で環境規制の強化が進む中、ビジネス拡大の余地がまだまだあるとにらんだ。米国の自動車メーカーのビッグスリーと直接取引するなど、実績は十分なのだ。

 帝人は炭素繊維や炭素繊維強化プラスチックにノウハウがあるが、それらは品質も価格も高過ぎるといった理由で用途や採用車種が限られるのが現状だ。比較的安価な上、見た目が奇麗で外板に使えるなど、炭素繊維製の部品とは違った特徴を出せるガラス繊維製の部品に強いCSP社を買収し、商品と技術の提案の幅を拡大。自動車向けで一気に成長を狙う。「ガラス繊維と炭素繊維のハイブリッド」(鈴木純社長)の商品開発も進める考えだ。

 CSP社には、帝人以外にも買収に意欲を見せる企業が複数社あったとされる。それ故、「値がつり上がっていた。買収価格はちょっと高かったんじゃないか」(化学大手役員)ともいわれる。買収の成否は、今後数年の業績の伸びで決まる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)