ただし、値段が高騰し過ぎて買えるレベルではなくなったからか、それとも広告の必要もないのか、新聞には都内の広告物件は意外に少なく、札幌、福岡、京都など地方都市やリゾートマンション、ゴルフ会員権の広告が幅を利かせている。

 たとえば、

・上越新幹線越後湯沢駅徒歩1分のリゾートマンション、64.23平米が4943万円(現在は800万円前後)、144.46平米が1億3775万円(現在は2000万円程度)

・越後湯沢近辺のスキー場隣接地に建てられた物件の場合、28.12平米~86.40平米で1170万円~4430万円で売り出されていた(現在は90~320万円)

 リゾート物件は、ほぼ10分の1に下がった計算だが、その値段も表向きのものだと地元不動産屋は話す。「税金や管理費がかかるから、持っているだけでカネがかかる。タダでも持って行ってほしいはずだが、さすがにゼロ円とは表示できません」。

 これら1989年物件の現在値を見比べてみると、一般向けが3分の1前後、高級物件が5分の1以下、リゾート物件は10分の1前後という相場観が成り立ちそうだ。いくら建物の減価償却分を見込んだにしても、この価格下落だと傷跡は深い。

千葉の山中なのに10億円超え
チバリーヒルズの今は?

 しかし、なんといっても圧巻であり、時代の象徴でもあったのは「チバリーヒルズ」である。これは後に揶揄を込めて付けられた異称であり、正式には「ワンハンドレッドヒルズ」という。

 ワンハンドレッドヒルズは、東急グループが1000億円をかけて、9000戸超の住宅を建設する計画でつくったニュータウン「あすみが丘」の中にある。千葉市郊外の山林312ヘクタールを切り開いて造成された土地だ。ここは、平均的な給与所得者向け戸建て住宅が大半だったが、一部に超高級建て売り住宅のエリア・ワンハンドレッドヒルズが作られたのだ。

 当時、都内中心部にも10億円を超える物件は売られていたが、東京駅から電車を乗り継いで1時間半、千葉の山中まで離れると、同じ値段で土地面積は1000坪、建物は200坪と5倍以上の大きさになる。テニスコートやプール付き、部屋数は10室以上と、アメリカの高級住宅街をそのまま持ってきたようなものだ。全62戸のうち、8戸が7月に発売されて即完売と報じられている。

 しかし、それが不動産のピーク。途中で建て売りから土地の分譲に切り替えたり、売値を当初の3分の1以下に下げたりと四苦八苦しながら、驚くなかれ、いまも販売が続けられている。さすがにこの場所、この価格だけに企業の保養所として使われている家も多いようで、居住しているのは数戸だとされている。

 もちろん、造成した東急グループも、あすみが丘の巨額の赤字処理のためにリストラを迫られたと、後の新聞が報じている。