パナソニックは“病気のおかげ”で生まれた?松下幸之助が明かした意外な真実写真はイメージです Photo:PIXTA

20歳頃に肺尖カタルを患い「50歳まで生きられないだろう」と診断された、パナソニックグループ創業者・松下幸之助。本人が語った、不健康だったからこそ生まれたパナソニック起業の秘密とは。※本稿は、実業家の松下幸之助『松下幸之助選集7 仕事の夢 暮しの夢/物の見方 考え方』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

虚弱体質で生まれた人は
人生で成功できないのか?

 仕事をするには、何といっても健康がもとである。

 しかし、世の中というものは、そううまくいくものではない。からだの弱い人がたくさんいる。いくら、健康法を説いたところで、生来蒲柳の質とよばれるような虚弱な人も多い。

 では、病気がある、あるいはからだが弱いというような人たちは、何をやっても、全然ダメなものであろうか。

 早くいえば、なるほど常識的には、健康体が何をする上でも一番大きな資本になり、基礎になることはいうまでもないが、生来からだの弱い人、半病人の状態がつづく人、何かからだに欠陥がある人、そういう人たちは何をやってもダメかということになってくると、これはひじょうにおもしろい微妙な問題だ。

 私はからだの弱い者でも、欠陥がある者でも、りっぱに成功する道は開けていると信じている。

 自分のことを申し上げては、はなはだ恐縮だが、私自身も、生来ひじょうな蒲柳の質で、若いころ海水浴の帰りに喀血(かっけつ)したほどだ。そしてほとんど50歳までは1つの疾病にさいなまれ、その養生をしつつ仕事をした。