そんななかでも、本当のブラック企業に勤務した経験がある若者には、誠実な人柄の人が多いと感じています。もちろん、労働条件が規格外に厳しい中で限界まで働き続けた結果、退職せざるを得なくなってしまった方に限ります。

 こういった若者の多くは長時間残業や居心地が極端に悪い社風で長く過ごしてしまっているがために、次の就職活動では応募企業の研究に追われ、1社ずつじっくりと時間をかけることになり、応募する企業が決まる前に疲労してしまう場合も散見されます。

 同じ過ちを繰り返さないようにと慎重になってしまうのも理解できなくはありませんが、行動を阻害する要因となっているのも事実です。つまり「正社員になりたい」というアクセルと、「酷使される」というブレーキを同時に踏んで結局は動けなくなってしまっているのです。

 まして新卒で入社した会社や、初めて正規雇用に切り替わった方であれば、1社目の社風というものに大きな影響を受けます。職場の異常に気づき、先輩や上司に相談しても「いや、普通だから」と言われてしまえば「そうなのかも」と思い、それが長く続くにつれ、ある種の洗脳された状態にもなります。これは後の職業観にも影響を与えます。

 相談できる知り合いがいない、専門家への相談に躊躇する、あるいは相談したことが会社にバレてかえって自分の立場を悪くしてしまうのではという不安を持っている方は要注意です。そうした不安を抑えて、今の職場で頑張り続けるのが一番と判断して働き続けた方は、なんとか退職しても、過労死すれすれの日々を過ごしてきたことで、心身ともに疲れ果ててしまします。

 こうした状況に陥ると、就職したことがないという若者よりも就職支援の難易度が上がります。