『超・箇条書き』で
短く、魅力的に伝えよう

 箇条書きは、少ない情報量にまとめて伝えることで、相手の情報処理を楽にして、結果的に相手に速く、魅力的に伝えるための手段だ。

 この場合、次のようにMECEを崩すのがよい。

<目標とする営業成績は売上3億円である>
<このために、2つの改善策に集中する>
・大口の顧客には、先輩社員に協力してもらって価格交渉し、販売単価を上げる
・中堅の顧客には、関連商品も併せて提案し、販売数を伸ばす

小口や超小口の顧客向けのことは伝えず、MECEを敢えて崩すのだ。そしてシンプルに、改善策を2つに絞って伝える。

 上司にとっては届けられる情報量は減るのだが、重要なことだけを聞かされるため、最後まで集中力がもつ。絞ることで、物語の山場がハイライトされて伝わるからだ。

 考えたり、分析したり、頭を整理したりするときにはとっかかりとしてMECEを使うのはよい。むしろ推奨したい。ただ、伝えるときには、それを敢えて崩して、重要なものだけに絞って伝えるのだ。

 MECEが普及したことで、分析などでMECEを使うだけではなく、その結果を伝えるときにも、MECEに拘るあまり、長々とどうでもよいことを伝える人が増えている。

MECE崩しをすることで、ロジカルバカっぽい相手を眠くする伝え方が、物語の山場をハイライトして相手の関心を惹きつける伝え方に変わる。

 そうすることで、たとえばこの例では、上司からは「こいつは、大口顧客と中堅顧客を集中的に攻めるつもりだな。こいつはなにが大事かわかっている。これは期待できるな」と思われるだろう。