頭には赤い帽子を被っている。「Make America Great Again」の白い文字が躍る。帽子の端には、トランプ陣営の1人、ニュージャージー州知事クリス・クリスティからもらったという署名のサインペンの文字がまだうっすら残っていた。

 ジョンは地元シャロボイ郡共和党の長を務めながら、社員10人を抱えるビジネスを切り盛りする。自らの配管会社のオフィスの一角が、地元の共和党オフィスを兼ねているという不思議な構造だ。

「うちの社はこの通り、トランプ支持をおおっぴらに表明しているけど、それによってお客が減ったということはない。政治信条はビジネスに影響していないよ」とジョン。

「製造業の仕事を呼び戻す」
保守派一筋の男が願う国の未来

自分が経営する配管サービス会社のオフィス内に、地元の共和党オフィスも設置している

 彼の机の上には受注伝票が山積みになっており、配管工事の順番待ちをしている顧客リストの束と、ビルや住宅の見取り図が所狭しと置かれていた。この地で兄と共に配管サービスの会社を立ち上げて、今年で45年になる。顧客の数は約1200人だ。

 自らを「保守派一筋」と称する。その信条を託せるとして、黒人医師のベン・カーソン候補に心酔した。そのカーソンが予備戦で破れ、トランプ支持に回ってから、トランプを大統領にするために日夜奔走してきた。

「国の経済を建て直して、デトロイトやミシガン各地に製造業の仕事を取り戻したいんだ。トランプは必ず職を再びアメリカにもたらす政策を実行するから」

 1970年代にミシガン州ディアボーンで自動車メーカー、フォードの社員として働いたジョンにとって、製造業のハブとしてのデトロイトが完全復活することは悲願だ。

「『デトロイトの自動車産業なんて、税金で救済せずに潰せばよかったんだ』という国民の声を散々聞いたけど、デトロイトでもフリントでも、いまだ空っぽの工場があちこちにある。そこに仕事さえ戻ってくれば、皆が一所懸命働くはずなんだ。そのチャンスをつくり出すのはヒラリーじゃなく、トランプだ」

 製造業の仕事をアメリカに再びつくり出す政策を、トランプは具体的に示していない。その点についてはどう思うのか。

「彼のビジネス減税案で経済が回復し、経済成長がスピードアップすれば、製造業の仕事はアメリカに戻ってくる。まず経済成長ありき。GDP(国民総生産)の成長率を上げないと」とジョン。