池袋駅の東西両側に、あたかも航空母艦のようにそそり建つ2つの巨大な駅ビル。東口側が西武百貨店、西口側が東武百貨店というトリビアと共に、豊島区の商業と聞くと、この2つの駅ビルの姿をまず思い浮かべる。

 だが、豊島区の商業は池袋だけではない。ここには、区内全体を覆うように、約100の商店街がある。面積18位ながら、商店街の数は10位。そう、あの「おばあちゃんの原宿」巣鴨地蔵通り商店街も豊島区だ。

意外や意外? 
豊島区は商店街の一大集積地

 豊島区は1k㎡当たりの商店街の数が、台東区に次いで多い。その数7.6ヵ所/k㎡ということだから、単純に計算すると、およそ350m四方の中に1ヵ所商店街があることになる。いささか意外な感もあるが、実は豊島区は東京でも有数の商店街の高度集積地なのだ。

豊島区の商店街――「おばあちゃんの原宿」は健在か? 過当競争と地盤沈下から這い上がれ!

 商店街が多いから店も多い。1k㎡当たりの専門店数(以下、「店舗の密度」と呼ぶ)は5位。食料品専門店に限ると第3位だ。八百屋の密度は2位。魚屋、肉屋の密度は4位。オリジナルのパンを製造販売するベーカリーの密度は、第1位である。

 豊島区に多いのは、こうした「商店街業種」だけではない。総合スーパーの密度は1位、ドラッグストアの密度は2位、専門スーパーの密度は3位、ホームセンターの密度4位となっている。小売店の集積度がおしなべて高い。

 購買力の実態と比べ店舗が多すぎることを「オーバーストア」と言うが、豊島区の小売業は、こうしたオーバーストアの状態にある面が否定できない。