米国が自国内の利益をがっちりと固める「ブロック化」を進めていけば、莫大な予算を投じて海外に展開している米軍は、巨額な財政赤字の一因として無駄とみなされ、縮小していくということはあり得る。在日米軍が縮小し、遂には撤退ということになれば、どうなるか。

 沖縄などから基地がなくなれば万歳、と単純に喜べる話ではない。急激に膨張する中国とどう対峙しようというのか。ハイテク装備の自衛隊は、軍事費は急拡大しているが、まだまだ近代化が進んでいない中国人民解放軍と、尖閣諸島などの「局地戦」であれば、勝てるだろう。

 しかし、中国がそれで引かず、日本本土を攻撃するなど、「全面戦争」の構えを見せて長期化したらどうか。自衛隊だけでは絶対に勝ち切ることはできない。そもそも、圧倒的な戦力的優位があった日中戦争でさえ、泥沼に入って日本は勝ち切れなかった。地政学的にいえば、「シーパワー」は「ランドパワー」を完全に倒すことは不可能なのである(前連載第64回)。

 従って、保守派が常々主張しているような「自主防衛」などあり得ない。日本は、集団的自衛権のネットワークを構築して、やっと領土を守れる国なのだということを、強く自覚しなければならない。もちろん、国家予算の大半を費やして、国家総動員体制を作り、超精強なハイテク軍事国家を作って中国と自力で対峙するというなら、それも1つの考え方だが、「豊かさ」「自由」「民主主義」を享受する日本国民に、絶対に同意は得られない。要するに、国際社会の「ブロック化」が進めば、日本は安全保障的に孤立して怯える小国になるということだ。

日本が先進国になれたのは
米国に製品をどんどん買ってもらったから

 次に、日本経済と国際社会の「ブロック化」を考えてみる。再び、トランプ氏の発言である。「日本から、何百万台もの車が、ひっきりなしに輸入されてくる。アメリカは、日本に何か買わせたか? 牛肉を輸出した、だが日本は買いたがらない。これは貿易不均衡だ」。日米の貿易摩擦の歴史は長く、日本人にとっては、もはや聞き飽きた、よくある米国人の発言だとはいえる。だが、よくある発言だからこそ、日本経済の本質を捉えているものでもある。

 日本がどのように高度経済成長を成し遂げて、経済大国となったかを振り返ってみる。戦後、米国は日本を占領した当初、日本の再軍事化・大国化を恐れて財閥解体を恐れ、重工業化を許さなかった。しかし、東西冷戦期になると、日本はソ連・中共の共産圏と対峙するフロントラインとなり、日本を経済成長させる必要性が出てきた。1950年の「朝鮮戦争」をきっかけに、日本の製造業は劇的に成長することになる。