市クラスの環境保護局には省クラスの環境保護庁(局)を主とする二重管理が実行される。市クラスの環境保護局はこれまで通りの市クラス政府部門のままであるが、省クラスの環境保護庁(局)の党組織が市クラスの環境保護局局長、副局長の候補者を指名し、同市クラス党委員会組織部門と共に審査を行う。これにより、「市クラスの環境保護局の局長は市政府が任命する」という構造が変わることとなる。

 この「意見」の実施は、ずっと「牙なきトラ」といわれてきた環境保護部門を強い部門とするものであるといえる。

 環境保護部門は、一級地方政府の構成部門であり、機構の設立にあたっては、地方政府の指令を執行し、従来の体制では、その主だったポジションは地方政府により任免されるものであった。地方は発展を必要とし、環境は保護されなければならないというこの大きな背景のもとで、環境保護部門は苦しい立場に置かれてきたが、自ら違法企業の管理・監督・処罰をしたいと望んだところで、地方政府の管轄と制約を受けている。もし地方政府が一方でGDPを引き上げることを重視していれば、環境保護部門が環境法にのっとって厳しく処罰し、一部の汚染の深刻な企業を営業停止、ひいては閉鎖にまで追い込むことは、現地の経済指標に影響を与えることになる。

 ただし、環境保護局の局長がどこまで本気になれるかは未知数である。というのも、彼がもし本当に違法企業を厳しく処罰したら、地方のGDPの数字に影響を与え、現地の市の党委員会書記や市長らの幹部の怒りを買ってしまい、局長の座も危ういものとなるだろうからだ。そのため、現実では、地方の環境部門はほとんどのとき、「片目を開き、片目を閉じる(見て見ぬふりをする)」選択的な状態にあって、本当に事故が起きたときに初めて、その火を消しに行くのである。

 さらに問題なのは、環境部門は法による規制を行うための武器を持たないため、汚染企業に対するにらみが効かないことである。環境保護部門は、「自分は牙のないトラであり、自分に牙がないことを知られないかを心配している」と自嘲する。

 今度の改革では、かなりの程度、環境保護部門の「誰に対し責任を負うのか」という問題を解決している。改革後、環境保護部門は胸を張って政府システムの中の強い部門になることができる。人が強いのではなく、部門の背後にある上級部門が後ろ盾となるからである。

 2003年に筆者は日本での仕事を辞めて北京に帰り、数年ほど黄砂に悩まされた。年中満天の黄砂で10メートル先は何も見えない場合もあった。しかし、数年の植林などによって今日北京では黄砂についてはほとんど問題にならなくなった。空気などの汚染問題が本当に数年かけて黄砂問題のように解決されていくのか、今のところ本当に自信を持っている中国人はまだそう多くはない。