今年2月21日、中国中東部で広い範囲にわたり有害スモッグが発生した。中国環境部によれば、スモッグは143万平方キロメートルの広さに及んだ。中国の国土面積は960万平方キロメートルなので、その約7分の1がスモッグで覆われた計算だ。
中国の大気汚染問題は、そう簡単には解決しそうにないが、この状況下で、ある家電製品が空前のヒットになっている。いわずと知れた空気清浄器である。
飛ぶように売れる空気清浄機
3000円から30万円台まで価格は千差万別
今、中国の消費者にとって、“焦眉の急の買い物”といえば、この空気清浄器だ。大気汚染の深刻な地域を中心に、販売台数は過去の数十倍にも伸び、またネット販売も勢いを増している。上海の売り場でも、人気機種ともなればあっという間に「売り切れ御免」の札がかかる。「飛ぶように売れる」とは、まさにこのことだ。
中国の市場調査会社・オールビューコンサルティングによれば、その規模は2013年の120億元(1元=約16円)から、今年は200億元を超え、2020年には1500億元の市場に成長すると言われている。
爆発的な伸びが期待されるこの空気清浄器市場には、近年、各社製品の参入ラッシュが続いている。それは、2008年に発生した牛乳・乳製品のメラミン混入問題の後に急成長した“豆乳ミキサー”以来の巨大なヒット市場ともいえ、この「儲かる市場」に欧米、日本、中国が本気で食い込もうとしているのだ。
中国の空気清浄器のメーカー数はざっと200社、なかには聞いたこともない家電ブランドも出現する。価格帯も「たったの200元」(約3300円)という激安商品から、消費者をして「暴利だ」と言わしめる2万元台の超高級商品まで千差万別。商品も、USBタイプやポケットタイプもあり、果ては“電子マスク”と称するものまで登場するなど、販売市場は混沌とした状況だ。