新生GMが「まさか」の健闘!
世界の自動車市場で進む構造変化
2010年の世界の大手自動車メーカーの新車販売実績を見ると、トヨタ自動車はグループで対前年比8%増の841万台と、3年連続世界第一位となった。一方で、意外な健闘を見せたのが、09年の法的整理を経て再建を進めている米GM(ゼネラルモーターズ)である。
GMは、世界最大の自動車市場に成長した中国などの新興国を中心に大きく実績を伸ばし、販売台数は対前年比12%増の838万台と、トヨタとの差はわずか3万台に迫った。
今後、中国、ブラジル、インドなど新興国での自動車販売台数は、趨勢的に増加することが予想され、主要新興国の市場動向によっては、GMが再び「世界最大の自動車メーカー」の地位を奪還する可能性もある。
また韓国の現代自動車は、ウォン安の追い風を受けて、販売台数は前年対比24%増の573万台となり、米フォードを抜いて世界第五位の地位を獲得した模様だ。
これからも有力メーカーの激烈な販売競争は続くとみられ、リーマンショック以降、一時落ち着いた感のある「自動車戦国時代」が、再び始まったと考えるべきだ。
こうした状況下、世界自動車メーカーの最高峰に座るトヨタ自動車は、安閑としてはいられない。特に、従来米国市場の比重が高かった世界戦略を見直すことが必要になるだろう。それは、トヨタ自動車だけの問題ではなく、わが国経済全体にとっても重要な要素になるはずだ。
08年9月のリーマンショック以降、世界経済の構造変化に伴って、世界の自動車市場にも大きな変化が発生している。主な変化は2つある。