現在「トランプ相場」といわれる市場が続いている。特徴は「株高」と「ドル高」しかも「ドル一極集中」で、新興国をはじめ、先進国からも資金を集めている。しかも、短期的な景気回復も予想されるため、債券(国債)から株式への資金移動も発生している。個人的には、この急激な新興国からの資金流出が、新たな通貨危機を引き起こす可能性があると考えている。

 このようにトランプの経済政策は内容が見えないものが多い。就任前の大統領予定者には異例ながら、安倍首相も11月17日にニューヨークで会談をしてパイプを強化した。

英国:EU離脱の行方

 6月23日に行われた英国のEU離脱の国民投票でも、米国の大統領選と同様に世論調査とは違う結果となった。同じく庶民の投票が反映された形となった(第50回参照)。

 さらに、最近では、英国の裁判所(高等法務院)がEU離脱には議会承認という判決を出した。そもそも、英国の政治制度で国民投票は意味がないということだ。議会ではEU残留派が多数を占めており、この問題は今後、急展開もあり得る。実際にポンドは上昇している。

中国:黄信号の経済

 中国の経済には黄信号が点灯している。以前は2桁の経済成長率を誇った中国経済であるが、今年の経済成長率目標は6.7%とした。結果的に偶然とは思うが、今年の3四半期が3つとも6.7%成長と発表されている。昨年対比1割減の輸出、粗鋼などの過剰生産、土地バブル、地方政府と民間企業の債務過剰があり、バブル抑制やゾンビ企業の撤退はなかなか進まない。こうした状況は「レッドスワン」と呼ばれている。2015年6月にはチャイナショック(上海株の下落)があり、FRBが利上げを中止したことも記憶に新しい。

 その結果として、10月に入り、中国人民元が下落している。しかし、9月には人民元は下落せず、レベルでいうと1ドル=6.7人民元を保っていた。これは10月1日にIMF(International Monetary Fund)の通貨SDR(特別引出権:Special Drawing Right)の構成通貨に参加したが、その前に不安定な通貨であるとの認識を回避するためと考えられる。その後は、市場原理に基づき下落を続けている(第48回参照)。

 リーマンショック時に無理に固定したのが1ドル=6.82~83元のレベルであり注目を集めていたが、人民元はそのレートをあっさり切って下落した。トランプが大統領に就任する前に人民元安のレベルを試しているとも考えられる。人民元安によって輸出の振興を図っているとも考えられる。資本の流出が懸念されるが、さまざまな規制を強化するとによって、抑えようとしている。