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トヨタ自動車がまもなく発売する新型SUV、C-HR。いま世界的なトレンドというスポーティSUVの市場にまもなく投入されるモデルだ。注目点はスタイリングと、運転しての楽しさ。同時に日本のみならず世界数個所で作られ数多くの国で販売されるグローバルプロダクトという点も特徴である。
トヨタC-HRは2つのモデルが日本で発売される予定だ。ひとつは1.2リッターターボ。前輪駆動を主体とした4WDとなる。もうひとつは1.8リッターエンジンと電気モーターの組み合わせによるハイブリッド。こちらは前輪駆動になる。
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トヨタが世界戦略のベースとして開発したTNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャー)というプラットフォームを使う第2弾。「(第1弾の)プリウスは操縦安定性と乗り心地のよさを重視して開発しましたが、C-HRではスポーティ性を加えています」(開発を指揮した小西良樹チーフエンジニア)というように、サスペンションやステアリングなどプリウスとは一線を画す作りになっている。現行プリウスも走りでは歴代ピカイチの出来だけれど、それに輪をかけるような楽しさがあるというのだ。
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プロトタイプを操縦すると、はたして、その狙いはきちんと達成されていると感じた。カーブが連続する道では気持ちよく回っていくし、85kW(116ps)の最高出力を持つ1.2リッターエンジンはいったん速度に乗ると意外なほどパワフルなのだ。欧州では2リッターエンジンも搭載するというが、1.2リッターでも充分に楽しめると思った。
ハイブリッドで印象ぶかいのは加速のよさだ。ひとことでいうと、かなり速い。カーブなどの挙動もよく、走らせているとC-HRの出来のよさに感心させられるほどだ。ブレーキを踏んだときにエネルギーをバッテリーにたくわえる回生システムを採用しているせいで、踏み始めで予想以上に制動力が働くのがやや気になるぐらいである。
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スタイリングは個性的だ。ひと目見れば忘れられない。欧州では日産ジュークや同キャシュカイ、それにおそらくアウディQ2といったキャラクターのたったスタイリングのSUVがライバルというだけある。全世界で販売するのにここまで大胆なルックス。いまはこういう個性がウケる時代なのだろう。無難さを捨てた勇気を高く評価したい。
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強調された前後フェンダーとスタイルを優先したようなファストバック。そしてエッジのきいたラインで構成されたボディ。トヨタ自動車では若い層を取り込みたいと考えているようだ。ただしクルマ好きだったら年齢に関係なく楽しめるモデルである。
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