信販会社が注力する家賃保証で<br />個人情報の扱いに付く疑問符賃貸住宅への入居希望者が、不動産管理会社から信用情報を取って持ってくるように言われるケースもある
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 信販会社大手がここ2~3年、力を入れてきた家賃保証サービスで、個人情報の扱いをめぐる、ある問題が持ち上がっている。

 このサービスは、オリエントコーポレーションやジャックス、アプラスなどが展開しているもので、賃貸住宅の入居希望者が一定の保証料を支払い、保証会社に連帯保証人の代わりになってもらうという仕組みだ。

 マンションなどを借りる際には、家賃を払えなくなった場合に備えて保証人が必要。ところが最近は、たとえ家族でも誰かに頼むのをいやがる人や、入居希望者の高齢化などで保証人をつけられない人が相次ぎ、利用者も急増。業界関係者によれば、サービスの利用はいまや賃貸借契約の2~3割に上るという。

 ところが、信販会社が家賃保証の契約を結ぶ際、シー・アイ・シー(CIC)や日本信用情報機構(JICC)といった信用情報機関に蓄積されている個人情報を利用しているというのだ。

 これらの機関は消費者金融での借り入れや、クレジットカードでのキャッシングなどの申し込みがあった際、審査のために照会するデータベースとして整備されてきた背景がある。

 その情報を、住居の賃貸借にかかわる契約で利用するのは、本来の目的から逸脱しているのではないのかというわけだ。

 CICやJICCは、家賃保証業務で利用するのは目的外利用に当たり、完全な「個人情報保護法違反」とする。ただ、家賃保証に伴ってクレジットカードを発行し、それで家賃決済をしてもらうケースについては、議論が分かれているのが現状だ。

 確かにカード発行時には、「業者は信用情報を確認する“義務”がある」(経済産業省担当者)。とはいえ、これは「実質的な家賃保証業務の契約の一部」(複数の業界関係者)に近く、「法律上は明確な違反でなくても、かなり微妙」と、問題視する声が多く上がっているのだ。

 信販各社は「カードを発行しない場合は、CICなどに照会していない」とするが、信用情報機関側は「発行の有無を確認するのは不可能で、利用目的を特定するのは無理」と、さじを投げている。となれば、個人情報の扱いに関して透明性が保たれているとは言いがたい。

 現在、こうした事態に対応するため、「賃借人居住安定法」の法案が国会に提出され、そこには家賃保証のための信用情報機関を整備することも盛り込まれている。

 カード発行を伴う家賃保証は、貸金業法や割賦販売法が改正される前から存在していたが、今回のような展開に、「法律が追いついていない」(CIC関係者)面も指摘される。法案の成立で制度整備が進めば、おのずと白黒がはっきりするはずだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)

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