いよいよ、米ドルは対円においてもレンジ上放れの様相となってきました。そして、ユーロ/米ドルも「米ドル高・ユーロ安」に振れています。
私は、米国の金利とユーロがカギとなって、目先では米ドル高が進むと考えてきましたが、そのような舞台が整った1つのきっかけが歴史的なエジプトの混乱だったと見ています(「『逆張りの2月』に米ドル高は進むのか?そのカギは米金利とユーロが握っている!」を参照)。
ユーロ高が進むには限界があると見ているワケは?
1月後半以降、ユーロ/米ドルは「ユーロ安」から「ユーロ高」へと転換し、一時は1.38ドルまで「ユーロ高」が進みましたが、私は1.38ドルを大きく超えるような「ユーロ高」になるとは考えていません。
今のユーロは「売られ過ぎ」や「下がり過ぎ」の修正でユーロ高になることはあっても、積極的にユーロ高がどんどん進むのは難しいと思っているのです。
「資料1」はユーロのポジションですが、これを見ると、ユーロが「売り越し」から「買い越し」へと急転換していたことがわかるでしょう。
この間の「ユーロ高」は買い戻しによって進んだのですが、ユーロ買いのリスクを積極的にとっていく状況ではないため、ユーロ高が一巡したということなのでしょう。
資料1
それでは、なぜ、ユーロ買いのリスクを積極的にとる動きにならないのでしょうか?
そのいちばんの理由は、昨年ユーロ危機が広がった中で、さかんに指摘された欧州の財政不安、ソブリン問題です。
「資料2」をご覧ください。欧州の信用は、ひと頃に比べると改善しましたが、それでもまだ1年前の水準回復にはほど遠い状況です。
資料2
一方、米国は1年前の信用水準をほぼ回復しました。欧米の信用水準は「米国 > 欧州」の差が拡大したことになります。
この観点から見るかぎり、積極的に「米ドル売り・ユーロ買い」のリスクを拡大させる動きになるとは思えません。