年の瀬、新年の目標を考える時期になりました。仕事の目的・目標を明確にした上で仕事を進めることは、仕事のやり直しを防ぐために一番重要なことです。トヨタ自動車でホワイトカラーの業務の質の向上を推進するメンバーが、トヨタグループ内外の仕事の進め方の参考としていただければと編集した書籍『トヨタ公式 ダンドリの教科書』から、注目のノウハウを紹介します。今回は、仕事の目的・目標を明確にすることの重要性についてご紹介します。

意外に知らない
目的と目標の違い

 トヨタの仕事術は、その第一歩は、仕事の目的・目標をはっきりさせることです。

 質の高い仕事をするためには、「自分のお客さまは誰か」「何のためか(例えばお客さまにどうなってほしいか)」をはっきりさせる必要があります。これこそが仕事の目的です。そして、その目的に対し、具体的な目標、「いつまでに」「どのレベルまで」を明確にします。これが目標です。

 目的は仕事の狙いや目指す方向を示すもので、目標は仕事の目的の目指す地点を示すものです。目的は中長期的で目標よりも抽象的になります。一方、目標は短期的で目的よりも具体的になります。

「何のためか」や「どのように活用するのか」を把握して仕事をすることで、柔軟に仕事に対応できます。

 環境の変化などを踏まえ、不要になった仕事をタイムリーに改廃することもできます。前任者から引き継いだ仕事を、「何のためか」理解せずに進めていたが、後工程に必要性を聞いてみると、活用していないことがわかり、不要な仕事が見つけられることもあります。

自分で仕事の目的や目標を
定めていくには?

 例えば、上司が部下に、こんなお願いをしたとしましょう。