「台湾では2016年1月に蔡英文氏が総統に当選したが、これ以降、北京は団体旅行者が台湾に行くのを阻止するようになった」と、この経営者は語る。

 中国に拠点を持つ台湾企業もざわついている。蔡英文氏の当選で中国は必ず報復に出る――、こう確信する在中の台湾企業には中国での事業を縮小させるところもあるという。

2012年の反日デモの再来か
日本もまた標的に

 中国による報復活動は、在中の日系企業にとって決して目新しいことではない。過去における日中政府間の摩擦は、関係当局の不要な介入、通関拒否や検疫検査の強化、果ては民間交流の凍結などをもたらした。在中の日本企業もまた韓国企業と同様の経験を強いられた。

 最近では2012年の反日デモが記憶に新しいが、デモが収束しても“中国の報復”は続き、多くの企業がその嫌がらせに頭を痛めてきた。難局打開のために現地の日系企業ができることといえば、関係当局に日参を繰り返すことぐらいであり、手土産持参で拝み倒すしか策はなかった。

 そして、またしても在中の日系企業に日中二国間の摩擦の火の粉が降りかかろうとしている。

 財務省は先ごろ、「特恵関税制度」の対象国から中国など5ヵ国を除外する方針を示したのだ。その結果、1000~2000品目の中国製品の関税が上がると言われている。

 これに対して中国では、「日本の動きは、トランプ氏による環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱や関税引き上げなどに呼応したもの」とし、保護主義への傾斜を懸念する声が高まっている。

 アメリカや日本が保護主義の風潮を強めれば、中国が次なる手を講じてくることは目に見えている。そして“中国の報復”の直接的な犠牲を被るのは、在中の外資企業にほかならない。