2月25日、東京は桜の季節のようなうららかな陽気で、気象庁は「春一番」が吹いたと発表した。この陽気のように、社会や経済もこれから“春ムード”を迎えられるだろうか。

日本の人口は1億2805万人に微増
首都圏に人口集中、単身世帯は急増か

 同じ25日朝、総務省は2010年に行った国勢調査の速報値を発表した(国勢調査は5年ごとに実施。前回は2005年)。速報値によると、2005年に比べ人口は0.2%増の1億2805万6026人。伸び率は1920年の調査開始以降最低だったという。

 “人口減少社会”という言葉が広く流布していることもあって、「日本の人口は減りつつある」というイメージを抱きがちであるが、正しくは未だに若干、増加していることがわかる。しかし、出生数と死亡数の差をとる自然増減はすでに拡大しており、そうした意味では人口減少傾向にあるといって間違いないだろう。

 同調査からは、東京の人口が1300万人を超え(4.7%増)、人口の10人に1人以上が東京に住んでいることがわかった。また1都3県(東京・千葉・埼玉・神奈川)の人口はすべて大きく増加しており、3562万人。同地域に全人口の約28%が住んでいることが分かる。他方、関西エリアは滋賀県の2.2%増以外はほとんど微減、東海エリアも愛知県の2.1%以外は微減であった。地方では人口が増えず、大都市に集中しているという報道も見られるが、より厳密に言えば、より首都圏に集中している、ということだろう。

 余談だが、この速報値を発表した片山総務大臣が以前知事職にあった鳥取県は、前回から3.1%人口が減少し、ついに60万人を割った(58万8000人)。これは、東京の足立区(67万人)よりも少なく、杉並区(52万人)、板橋区(53万人)より多い(2011年2月1日現在)。

 話を世帯数に移すと、こちらは前回調査から4.8%増と大きく伸び、5195万2000世帯となった。つまり、一世帯当たり人員は平均2.46人ということになる。1世帯当たり人員は1975年から減り続けており、「農村社会・ゲマインシャフト的社会が崩れた」などと言われたのもすでに遠い過去のことで、一層核家族化が進み、単身世帯が急増していると思われる(速報値ではこの値は出ていない)。少子化が進んだこと、都市部を中心に晩婚化が進んだこと、高齢単身者が増えたこと、離婚による世帯分離が増えたこと、などがその要因として挙げられそうだ。

 速報をまとめると、①首都圏に人口がさらに集まっている、②世帯数はかなり増えた(おそらく単身世帯が増えた)ということになる。