任天堂は2月26日、全世界で1億4400万台を売った人気携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」のシリーズ最新機種「ニンテンドー3DS」(写真、2万5000円)を発売した。

 裸眼で3Dが楽しめるほか、カメラを通して現実の世界に情報を付け加える仮想現実(AR)を使ったシステムなど本体機能が充実していることもあり、事前予約は初日で終了する店舗が続出。そのため、予約ができなかった購入希望者が当日販売を実施した店舗に長い行列を作った。

 ある関係者は、当日整理券方式を実施したヤマダ電機で3DSを購入したという。「事前の入荷数が大変少ないと聞いていたので買えるかどうか心配だったが、苦労なく買えました。他店舗も回りましたが最終的には全体的に入荷数も想像以上に増えていた印象で、任天堂はぎりぎりまで出荷数を増やそうと努力していたような感じがしました。断続的に入荷していた店舗もあって、夕方に購入できた人もいたようです」。

 任天堂によれば初回出荷台数は約40万台強。同社広報室は「発売日に特に混乱なく、お客様に商品をお渡しできたことに安堵している」と話す。

 だが、現在の任天堂を取り巻く環境は、6年前にDSの初代機がでたときの状況と異なっている。当時、任天堂との比較対象といえばソニーやマイクロソフトなど同業他社系大手が多かったが、最近は任天堂の決算説明会での質疑応答やインタビュー記事を見ても「iPhone」を擁するアップルや、ソーシャルネットサービス(SNS)業者との比較を問う内容が増えている。

 つまりそれは、ゲームコンテンツに対する世間の認識が変わったと言うことだ。ゲームと言えば6年前は「ゲーム専用機で遊ぶもの」と定義されていた訳だが、現在そう考えている人は少ないのではないだろうか。

 私たちは家庭用専用機がつながっているテレビモニターやゲームセンターにある筐体はもちろん、パソコン、スマートフォンを含めた携帯電話機と、さまざまなモニターを使って日常的にゲームコンテンツに触れている。つまり、「ゲームは専用機でなくても遊べるもの」とユーザー側の認識が変容しているのだ。その状況のなかで、任天堂がゲーム専用機である「ニンテンドー3DS」を発売する意味を考えてみたい。