スーパードライは「天の時、地の利、人の和」がみごとに重なり、爆発的に売れました。運がよかったと言えるかもしれません。

 しかし、スーパードライはその運を逃さず、しっかりつかんだことが、最大の成功理由なのです。

 当時、アサヒビールはコクキレビールのヒットで、会社全体が盛り上がっていました。しかしチャンスを逃さず、コクキレビールとのカニバリゼーション(共食い)も恐れませんでした。当時の消費者の嗜好の変化をとらえ、「味」に対して貪欲に挑戦し、社員がそれぞれの役割を果たしたことが、スーパードライのヒットにつながったのです。

 運とツキは、神さまが誰に対しても公平に与えてくれるもの。

 自分の持ち場で、自分のやるべきことを、自分がやるべきときに、自分でキッチリやっていたら、運は逃げません。

 それをやらないと、運やツキは逃げるのです。

運を実力と思った瞬間
運は逃げてしまう

「運がいい」という言葉は、ほめ言葉です。

 仕事をしていて「運がいい」と思うことがあったら、それは自分の持ち場でしっかりやってきたという証拠。

 これまでの努力が認められたと思って、素直に喜んでいいのです。

 NHKの会長時代、ある飲食店が食品を偽装しているという特ダネをつかんだ女性記者とカメラマンがいました。表彰したのでよく覚えています。

 その女性記者は警察署に張りついていて、捜査に動いているという情報を事前にキャッチ。それをカメラマンに伝えました。それを聞いたカメラマンが店の前に張り込み、警察が店の捜査に踏み込む現場を映像に収めたのです。